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『私は幽霊を見ない』藤野可織(著)
私は幽霊を見ない。見たことがない。さらに目が悪い。心眼でも見えないし、知覚する脳の器官も機能しない……。だけどいつでもどこでも怖がっている筋金入りの怖がりだ。そんな著者は怪談専門誌で怪談実話を連載することに。心霊体験をしたいがために、徳島県の廃墟ホテル訪問したり、レジデンスで訪れたアメリカで出ると言われているホテルに泊まったが幽霊には出会えず。幽霊には会えていないけれど、幽霊とは何かという問いの答えは知っている。“幽霊とは、生きているときに上げられなかった声”だ。私たちは誰であれ今でも、上げられない声を抱えながら生きているから、こんなにも幽霊を追い求めるのだろう。著者の幽霊探しの旅は続く。
怪談探索エッセイ。怪談というより、怪談を追い求める日常を描いている。
クレイジー沙也加ほどではないが、この人も天然ぽいので、普通に読んでて楽しい。ニコラス・ケイジ好きで常に画像を収集してるとか想像のなかで猫を飼ってるとか面白エピソードがこの本の半分。このエア猫がキーボードの上でぐっすり寝ているので仕事ができないくだりは噴いた。
残り半分は、聞いたまたは体験した怖い・不思議な話の紹介。不可解な話もおおく、微妙に怖かったりするので、怪談好きも少しは楽しめるのではないかな。身も蓋もない話も多々あるが、それはそれで笑える。
一番怖かったのは、寝ていると何者かが顔に触れる。払っても払っても顔に触れる、という話の顛末。鳥肌がたったよ。
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