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チョロインが可愛い『セルフ・クラフト・ワールド 第1巻』芝村裕吏(著)

大規模多人数同時参加型オンラインRPG(MMORPG)である〈セルフ・クラフト〉のゲーム世界では、人工生命“G-LIFE”が奇跡の独自進化を遂げていた。ゲーム内のド田舎村で旅人を迎える役目のエリスは、九州女性(?)のノンプレイヤーキャラクター(NPC)。砂漠で彼女の命を救ったプレイヤーのGENZ(ゲンツ)は、G-LIFEの不可思議な生態を研究しているという。そこへ謎のハッカー集団の侵入事件が――世界最高の熊本弁ファンタジーSF、ここに開幕!

芝村裕吏は『マージナル・オペレーション』シリーズしか読んでなかったので、他に手を付けてみる。熊本弁ファンタジーSFという謳い文句に惹かれ、本作をチョイス。

舞台がMMORPGというのは、WEB小説でもよくあり、ゲーム内に閉じ込められたり、凄いスキルで無双したりする。しかし本作は全然違い、スキル・魔法・ゲーム的イベントなどは一切触れず(舞台も最果ての砂漠だし)、ゲーム内で進化した生命に焦点が当てられる点がユニーク。現実世界の15分がゲームでは1日なので、生命の進化が劇的に進む。その進化は現実を追い越し、現実がゲームの生命を参考にし、工学を発展させねばならない程で、その生命調査が、政治、国際問題にも発展する世界観が殺伐としていて結構好き。

NPCの女の子(ヒロイン)の一人称で物語が語られるのも面白い。AIが凄いのでほぼ人間なのだけど、ゲームに不要な知識は刷り込まれてなかったり、恋愛フラグが存在したりとシステム的なネタが満載で笑える。

さらにこのヒロイン、デレッデレなのが笑える。ここまでデレデレしたチョロインも珍しいが、それに翻弄され赤面する主人公(中身はおじいちゃん)も可愛くて良い。殺伐とした世界観に潤いをもたらしてくれた。二人に幸あらんことを。

三部作らしいが、アマゾンであらすじをみると、主人公は巻ごとに変わるみたいでやや残念。とはいえ超展開が待ってるようなので、粗筋で軽いネタバレを食らったが、作品を読むのが楽しみ。

#読書感想 #読了 #ネタバレ #SF



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