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『人工知能で10億ゲットする完全犯罪マニュアル』竹田人造(著)

首都圏ビッグデータ保安システム特別法が施行され、凶悪犯罪は激減――にもかかわらず、親の借金で臓器を売られる瀬戸際だった人工知能技術者の三ノ瀬。彼は人工知能の心を読み、認識を欺く技術――Adversarial Example――をフリーランス犯罪者の五嶋に見込まれ、自動運転現金輸送車の強奪に参加するが……。人生逆転&一攫千金、ギークなふたりのサイバー・ギャングSF

AI法廷のハッカー弁護士』が超良かったので手に取る。
これも超楽しい。エンタメ特化ハイテクSF。冒頭でいきなりタイトルが回収されてて笑う。

お話は近未来、簀巻きにされた主人公と映画オタクが完全武装AI自動運転現金輸送車を襲うお話から、ヤクザやライバルにしてやられたり、カジノを襲ったり、話がどんどん転がってゆく。

ディープラーニングAIが社会に浸透している時代、AIや機器の死角、人の認識の隙間などをハックしてゆくのが爽快。
完全自動運転の導入には、こういうのにも対策がいるんだなぁと気が遠くなる。以前標識に赤外線反射する塗料ぬって自動運転を誤操作させたニュースがあったし、全然笑い事じゃない。
ちなみに、アメリカの一部ではもう完全無人のタクシーが商業利用されてる。日本ではいつか可能だろうか? 国会で建設的な議論されてるところが全く想像できない()。

とはいえ、本書はさほどシリアスではない。クライムノベルでありながら、キャラや会話がコミカルで楽しい。ちょっと伊坂幸太郎っぽいかな。
ただし、AI専門用語が頻出するので、多少のIT知識がないと楽しめないで要注意。

ちなみに本作、第8回ハヤカワSFコンテストで優秀賞で、大賞ではない。この面白さで? と吃驚なのだが、巻末の選評読んで納得。たしかに未知へのロマンは皆無だから、SF業界としては評価できないのだろう。しかし、第9回ハヤカワSFコンテスト大賞の『スター・シェイカー』は、個人的には無理だったので、この賞あんまり合わないかもな。
また、この本は『このSFがすごい』などで目にしていたものの、タイトルがあまりにダサくてスルーしていた。反省。読んでみないと何がツボるかわからんね。

冒頭がちょっと試し読みできるよ

#読書感想 #読了 #ネタバレ #SF


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