『おむすびの転がる町』panpanya(著)
「楽園」からの6冊目のpanpanya作品集。表題シリーズはじめ「筑波山観光不案内」全5本計55p、「坩堝」「ツチノコ発見せり」「新しい土地」等、著者ならではの描写が輝く16篇。日記も併収。
今作も動物もの、旅行もの、エッセイもの、自由研究ものが味わえ大満足。特に好きなのは『筑波山観光不案内』。個人的に panpanya 史上一番好き。
以下いくつかピックアップ。
筑波山観光不案内
筑波の景色が面白すぎるし、虚実入り混じった蘊蓄が楽しすぎる。エレベーターとケーブルカーの違いは衝撃をうけた。不要不急線は図らずも時事ネタになってしまった所が面白い。さらにガマの油工場の歴史写真風のカットは気合いが入っていて爆笑してしまった。なのにラストはちょっと切ないという卑怯なほど完璧な作品。傑作。これを本のタイトルにしてほしかった程好き。
そこに坂があるから
心残りが夜のうちに増幅する描写が天才すぎる。それだけでも最高なのだが、ラストのコマがこれと対比となっていて、ぐうの音も出ない。
ツチノコ発見せり
ツチノコがとにかく可愛いのと、お話が愛で溢れている感じが尊い。しかしツチノコ学部ってなんだよ、と後からじわじわくる。
カステラ風蒸ケーキ物語
これはweb連載で読んだ際、ここまで持ち上げられると自分も食べてみたくなるが周囲の店を探しても見つからず、デイリーヤマザキの店員に聞いたら店員は存在すら知らなかった。ぐぬぬとなった思い出の一篇。どれほどの味だったのかめちゃくちゃ気になる。しかしその望みはかなわない。
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