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『SFショートストーリー傑作セレクション 異次元篇 次元を駈ける恋/潮の匂い』日下三蔵(編)

初期SF作品から、親しみやすいショートショート・短篇を集めたアンソロジーシリーズ。 編者はSF・ミステリ評論家でアンソロジストの日下三蔵! 3冊目の異次元篇は、パラレルワールド、異世界ものの名作を収録します。 いまなお新鮮で、ときに妖しい魅力を放つ、文句なしの傑作ばかり。 巻末では、収録作品のくわしい解説のほか、各著者の代表作・プロフィールなどを丁寧に紹介します。 収録作品: 平井和正「次元を駈ける恋」 今日泊亜蘭「ケンの行った昏い国」 眉村卓「潮の匂い」 筒井康隆「母子像」 星新一「殉教」

昭和の大御所たちのSFオムニバス。舞台が昭和で若干古臭いが、それが哀愁やホラー味を加えている。かなりいぶし銀なお話ばかり。
表紙は詐欺としかいえない(笑)

本編のどれも面白かったが、後書も良かった。昔の少年漫画誌には小説が載ってたというのに驚き。廃れちゃって心底残念。
また、体系的に本を読んでないので、作家の歴史がわかる解説がめちゃくちゃ助かる。今日泊亜蘭きょうどまり あらんを知れたのはかなりの収穫。光の塔を読まねば!

次元を駈ける恋 / 平井和正 著

事故で婚約者が死んだので、別の平行世界へ移動し彼女を救うお話。

平然と自力で並行世界に移動しててちょっと笑った。しかし内容はシリアス。愛する人のために全力を尽くすのにグッと来る。しかし、違う世界で彼女を救っても、その世界の自分が喜ぶだけというジレンマが発生してしまう。解決策は自分を殺すしか無いが。。
そして、ラストは何の救いもなくてびっくり。この時点で、あれ? 甘々ジュブナイルじゃないぞ? と気付きはじめる(笑)

ケンの行った昏い国 / 今日泊亜蘭 著

ヤクザの決闘のお話。

オチは予想どおりだが文体がめっちゃくちゃよい!
講談っぽいのかも? テンポ、リズム、勢いが素晴らしく、読んでて只々楽しい。こういうのに日本語の力を感じる。
しかし表紙のイメージからどんどんはなれてゆくなと思い、やっと、テーマが異次元の恋ではなく、異次元なのだと気づく。

潮の匂い / 眉村卓 著

おっさんがサイクリングしてると、戦後の夜店に迷い込むお話。

戦後すぐの時代に迷い込んでしまい、財布のお金の価値が100倍になるのがキモ。主人公はあっさり家族を捨てて第2の人生を選んでて笑える。
行った先で、何だこの金は!? とか糾弾されてほしい(笑)

母子像 / 筒井康隆 著

猿のおもちゃが人を異空間に引きずり込むお話。

ラストが恐ろしすぎて筒井康隆にドン引き。
タイトルの意味が最後にわかるが、絵面がホラー過ぎるよ。実写向き。

殉教 / 星新一 著

死者の国との通信機のお話。
死んだ知り合いと話すと、こっちは素晴らしい、死んでよかったと熱弁され、みるみるみんな説得されて死んでゆく。

星新一の3作目のお話、超初期作品。最初はこんな暗いの書いてたのかと驚く。オチもいが、なぜ生きるのかという青臭いメッセージが熱くて格好良い。

#読書感想 #読了 #ネタバレ #SF

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