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『翻訳地獄へようこそ』宮脇孝雄(著)

『死の蔵書』や『異邦人たちの慰め』など、エンターテインメントから文学まで多様な作品を訳してきた宮脇孝雄が、数多くの翻訳実例も引用しつつ、翻訳のやり方を実践的に紹介。読めば読むほど翻訳者の苦悩と翻訳の奥深さがじわじわ伝わってくる一冊です。悩める翻訳者と海外文学ファン必読。地獄で仏の実践翻訳ゼミナール。

作者が翻訳本を読んでいて見つけた誤訳を解説するエッセイ集。ミシュランマンスーツの誤訳(着ぶくれしてミシュランマンみたいになってる人を、ミシュランのスーツを着た人と訳した)は笑えた。勉強しすぎでミシュランマンを知らなかったんだろうな(笑)

イディオムや聖書の引用などの地雷は想像しやすいが、ジャンパーはイギリスではセーターの意味だとか、同じ名前のお菓子でもイギリスではチョコレートでアメリカだとラムネだとか、ナースは乳母の意味もあるとか、細かい地雷がたくさんで、1冊分の翻訳作業を想像するだけで疲れる。

単語や文法をただ訳すのではなく、文化的背景を理解して訳さないと正しく訳せない、少しでも違和感を感じたらとことん調べなければならない、というこだわりが凄い。英語の試験だと正解でも翻訳だと誤りになる。これら誤りを避けるために読むべき本が大量に紹介されているので、勉強家にはおすすめの一冊。

それにしても、(名前は出てないが)晒された訳者は忸怩たる思いだろう。それとも、賃金と納期を考えたら妥当な品質なのかもしれない。その地獄の話はされていないが、ぜひ覗いてみたいな。

あと、作者は自分の失敗も公開しといた方が安全なんじゃないかな(笑)

#読書感想 #読了 #ネタバレ #エッセイ #宮脇孝雄

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