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『約束の果て 黒と紫の国』高丘哲次(著)

父が託した二つの遺物。偽史と小説、大国・伍州(ごしゅう)で長らく虚構とされた二書には伝説の国、壙(こう)とジ南を巡る、ある悲劇が記されていた。書に導かれるがまま、約束の地を訪れた「私」が見た光景とは。そして二つの虚構が交わる時、世界の果てに絢爛たる真実が顕れる。5000と70年の時を繋ぐ、空前絶後のボーイ・ミーツ・ガール。

神代から始まる淡いラブストーリー。人ではない精霊のような存在がまだいる時代の中華風ファンタジー。

序盤、表紙のイメージ同様、少女漫画的展開で読者の心を掴む。そして中盤からキメラアント編が始まり、めちゃくちゃ驚かされた衝撃の一冊。終盤はAKIRA(というか鉄雄)だし。

壙という国の成り立ちと終焉、2つの時代のお話が交互に語られ、それぞれのボーイ・ミーツ・ガールが描かれる。その二つが絡み合い、収束する展開には舌を巻いた。伏線とトリックが美しい。

骨子が素晴らしいだけに、日本人の登場が無駄でしかなかったり、戦争描写がチープだったりするのが惜しいなぁ。
しかし日本ファンタジーノベル大賞にふさわしい一冊。

#読書感想 #読了 #ネタバレ #ファンタジー

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