『優等生は探偵に向かない』ホリー・ジャクソン(著) 服部京子(訳)
『自由研究には向かない殺人』の直後から始まる地続きの続編。前作で捕まった人の裁判と、新たな依頼の行方不明人探しが並行で描かれる。
前作は明るく楽しい雰囲気だったが、今作はかなりダーク。人々のゲスさが目立つ。ピップは正義を行っているはずなのに、街と対立してゆく。
後書で知ったが、3部作だそうな。なので2作目は当然落とす。ラストは再び飛び上がると信じてるが、終わり方が結構不穏だったので、結構心配…。
とはいえ、今作も抜群のテンポで面白い。今作でピップは前作の事件簿をポッドキャストで配信しており、数十万のフォロワーを抱えたインフルエンサーになっているので、今回の行方不明も配信すると、目撃情報などの手がかりがポンポンでてきて行き詰まらないあたりが楽しくて良い。
スクショや証拠写真、埋め込まれた音声ファイルのイメージとかも盛り沢山で、まるでブログを見ているように楽しく読める。横書きの原書はより楽しいんだろうな。
ホームパーティー(のもっと下品なやつ)会場のインスタ写真や動画と、不動産サイトで見つけた見取り図で、特定の場所、人間を地道に探す地道な捜査が面白かった。
それだけに、そのものズバリの動画が見つかる展開はガッカリかな。ピップの頭脳いらないじゃんってなっちゃう。
しかし、インフルエンサー捜査には弊害もあって、ガセネタ、荒らし、誹謗中傷など、人間の糞みたいな側面も可視化されてしまう。これに煩わされるピップが不憫。しかしこれらこそが第2部のテーマなので仕方ない。残念ながら最後までこのやるせなさが続く。
なので、作品自体の楽しさでいうと前作に軍配があがる。
ちなみに、今作一番笑ったのは、まさかのGoogle検索がファインプレーする所。そこから真相が判明してゆく。本作、ミステリィとしはかなりアンフェアで行き当たりばったり。推理で真相には絶対たどり着けないので、そういうのは期待してはいけない。
ピップが司法や警察への信頼を失い、ゲス共や今回の事件で心に傷を負った本作、次巻ではどんなことが起こるのか…。レイプ魔がまた絡んできそうだし、正直、楽しみより不安が大きい。ラヴィが最後の砦なので、どうか殺されませんように。
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