『不思議の扉 午後の教室』大森望(編)
学校が舞台のSFオムニバス。著者ラインナップから青春要素が全然想像できなくて手に取る。案の定、青春要素ほぼなし(笑)
学校が出てくる、というだけ。とはいえ、普通に骨太SFとして素晴らしいので結構オススメ。
ジョー・ヒルの『ポップ・アート』がぶっちぎりですき。
インコ先生 / 湊かなえ 著
修学旅行の心霊写真について相談される保健室ショートショート。
湊かなえ初読み。意外と技巧派なのねと吃驚。それでいて少女漫画チックな舞台が面白い。
三時間目のまどか / 古橋秀之 著
ふと窓ガラスを見ると、自分ではなく女学生が写っていて…。
ベッタベタで最高。こういうのでいいんだよ!の極地。やっぱりこの人の作品大好きだわ。
迷走恋の裏路地 / 森見登美彦 著
四畳半神話大系や夜は短し歩けよ乙女のプロト。
もうすでに傑作でニヤニヤが止まらない。しかし冷静にみると主人公、気持ち悪いわぁ(笑)
S理論 / 有川浩 著
S理論にかかわると消されるという都市伝説的怪談。
オチでS理論が無意味になる理由が語られるが、技術独占して使えば問題ないでしょって思っちゃう。
お召し / 小松左京 著
空飛ぶ円盤が来た後、12歳以上の人間が消えるようになるお話。
とんでもネタなのにめちゃくちゃ読ませる。この文章力、迫力に脱帽。そして読後に最初の序文の意味がわかり恐怖しかない。
テロルの創世 / 平山夢明 著
ある村の少年少女のお話。祭りの日に殺人鬼が現れ…。
カズオ・イシグロ作品と同じネタで吃驚。
短編なので後半展開が雑なのがもったいない。
ポップ・アート / ジョー・ヒル 著大森望 訳
風船人との友情のお話。
風船人のモチーフはまんまダッチワイフなのだが、物語はシリアス。そのギャップを笑うべきなのか悲しむべきなのかわからない。残酷な傑作。
保吉の手帳から / 芥川龍之介 著
芥川龍之介の教員時代の出来事をもとにしたエッセイ的お話。
比喩が大げさだが清々しいお話ばかり。芥川龍之介、けっこうナルシスティックだな(笑)
他の保吉ものも読みたいなと思うが、青空文庫の横書きだと覿面に読む気をなくすのはなんでだろう。縦横やフォントを手軽に変える仕組みはないものか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?