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『まず牛を球とします。』柞刈湯葉(著)

牛は食べたいが、動物は殺したくない。そんな人類の夢が実現した未来を描いた表題作ほか、大正電気女学生、石油玉、現代の箱男などが大活躍! 非人類にもおすすめの奇想天外な作品集。

大好きな「まず牛を球とします。」がやっと本になって嬉しい。
描き下ろし2編を含む14編を収録の短編集。どれも皮肉たっぷりで大満足。皮肉というより、人間に対する絶望なのかな。これを笑い話にするのだから最高。既読も結構あるが、何度読んでも良い。以下好きなやつピックアップ。

まず牛を球とします。

仮定ではなく、食料生産のため、物理的に牛を球にする未来のお話。牛肉は食べたいが、動物は殺したくない。という思想にテクノロジーで対応してゆく。

「たのしい超監視社会」と「未来職安」にならんで柞刈湯葉史上1位タイの傑作。
中盤、牛の話から、人々の皮膚の色の話になるので、ちょっと戸惑うのだが、終盤に無関係でないとわかる衝撃と、未来の人間の不毛さでめまいがする。人間はどこまで人間に配慮、忖度してゆくのか。。
全編試し読みできるので是非読んで!

改暦

古代中華で日蝕の有無を計算する役人のお話。予測が外れれば外れるほどよい理由とは…。

アンソロでの初読は派手さがなくつまんねーなと思っていたが、再読でやっと意味がわかった。テッド・チャンみがある。コンピュータも無い時代、この心理に至った主人公の絶望を想像するとぞっとする。

沈黙のリトルボーイ

広島に落ちた原爆が不発弾だったら、というお話。終戦後なので米軍が決死の不発弾処理を行う(笑)

もうこのあらすじが最高。オチは弱いが、補って余りあるIF。

また自分の話だが、原子爆弾は全部爆縮レンズを使ってると思ってたし、長崎のは水爆だと思ってたが記憶違いだった。どこで間違えたんだろ。

#読書感想 #読了 #ネタバレ #SF

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