『黒き荒野の果て』S・A コスビー(著)加賀山卓朗(訳)
手垢の付いたシナリオで200点を叩き出す傑作! 素直に凄い。
突飛な仕掛けなどないが、普遍的真理が凝縮されてるからこそ、文句のつけようがない。
お話は、資金難でやむにやまれず、足を洗ったはずの犯罪家業に再び手を出すはめになるも、手を組んだクズのせいで事態がどんどん悪化してゆき…というもの。
並行して、家族の事、過去に失踪した父親の事などが掘り下げられてゆく。
序盤から主人公が追い込まれていく様子も見事だが、その後の宝石店強盗からクズが本領を発揮仕出してからが本番(笑)
ギャングが絡む中盤以降、はいはい敵同士をカチ合わせるんですね、という鉄板ストーリーからの転落がまた凄い。クズのクズ度が予想を超えてくる。
馬鹿が阿呆な理由でストーリーを転がすのが大嫌いなのだが、本作はそれに全然嘘がないのですんなり楽しめた。まぁしょうがないよね、とすら思える。登場人物全員、すべての行動に納得できる稀有な作品。
そんなクソみたいな世界で、主人公が光を見出し変化してゆく様が美しい。
文句なしに傑作なので、S・A コスビー作品は全部よむぜ。
ちなみに、続編があるとしたら、主人公は長男なのかな(笑)
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