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『罪人の選択』貴志祐介(著)

「夜の記憶」―『十三番目の人格―ISOLA―』『黒い家』の本格デビュー前に書かれた貴重な一編。貴志祐介ワールドの原点!
「呪文」―『新世界より』の刊行後ほどなくいて発表された短編。惑星「まほろば」で何かが起きている…。
「罪人の選択」―「罪人」の前に出されたのは、一升瓶と缶詰。一方には猛毒が入っている。果たして正解は?
「赤い雨」―新参生物のチミドロによって、地球は赤く蹂躙された。スラム出身の瑞樹はRAINの治療法を探る。

SF短編4つ。短編なので『新世界より』みたいな凄みはないのだが、世界観はさすがと唸らされる。異形SF好きなので「夜の記憶」はドストライク。救いが無さすぎるけど。

夜の記憶

うすぼんやりと人の記憶をもったままどこかの星の魚類に転生するお話。

なろう小説の異世界転生みたいだが、全然違う。人類は追い込まれ、そうするしかない状況になってる状況が凄い。人類の末路として絶滅よりも切ない。

呪文

人類が宇宙に進出した未来、テラフォーミングした星で暮らす人々を調査する民俗学のお話。

『新世界より』の影響が濃く禍々しい一作。オチはわりと予想通りなのだが、防ぎようがないのではと思うが、それでも対策せねばならないのが組織の大変なところだね。

Nintendo が不意打ちで一番面白かった。

罪人の選択

容疑者に毒を飲ませ審判をするお話。無罪の人間は一気に飲むから拒絶反応が起きて吐き出すが、罪のある人間はびびってチビチビのむので致死量まで飲んでしまう、という話の発展形。

焼酎か缶詰、どちらかに毒が入っており、どちらかを食べねばならない、というリンチが行われるのだが、過去と現在、同じ事が行われ、平行で語られるのが面白い。勝負の駆け引きがもうちょい面白ければと言わざるを得ない。

赤い雨

赤い藻が地球を征服したお話。上級人類はドームで暮らし、それ以外は赤い雨に打たれ健康を害しながらスラムで生きてゆく。

一見パンデミックSFなのだが、人間の選民思想とか特権意識とかのお話がメイン。好き嫌いの問題だが、せっかくSFとして良い題材なのに、卑近な人間の話にレベルダウンしてしまうのが残念。

#読書感想 #読了 #ネタバレ #SF

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