『ワイルドサイドをほっつき歩け』ブレイディみかこ(著)
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』シリーズが良かったので、コロナ禍のイギリスが描かれてるであろう本作に手を出したのだが、メインテーマはブレグジットだった。コロナ直前まで。
また、ちょっとブルーでは息子・学校が主軸だったが、本作ではおっさん(作者の友人たち)が主人公。
また、ちょっとブルーとエビソードがややかぶりしているのだが、補完してる感じで余計に楽しめた。
おっさんと呼ばれているが、60超えがほとんど。死とか病気とかそんな話が多いのだが、恋の話もちらほらあり面白い。緊縮財政でダメージを受けてる労働者階級の悲哀やたくましさにホロリと来る。
失恋後に「絶望、なんてロマンティックなことは、上の階級のやつらがやることよ」というセリフが大好き。まずは食っていかねばならぬのだ。
また、超男前のエピソードで、パブで立って飲んでるだけで女がパンツを投げつけてくるってのに腹抱えて笑った。その人、死の間際まで若いベトナム人とつきあってて相続でももめてたりしており面白い。不謹慎ネタは国境を超えて笑える。
あと面白かったのが、最近のイギリスではポリコレだけでなく、ヘルシー路線に切り替わってる模様。若者はあまり飲まず、パブも減っているのだとか。さらに太ってると差別の対象になったりする。Fatism (ファティズム。ファシズムではない)というネーミングセンスが素晴らしい。
ちなみに、コロナ禍の最新エッセイはこちら(⬇)。本作から数年経っており、ロックダウンでの鬱やら、連れ合いの癌再発、病院でのコロナ院内感染など、予想を超えた壮絶さに驚く。
ついでに、ブレイディみかこ氏のブログ。
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