PONDO、PONDO、PONDO、PONDOし・あ・わ・せあしすとちるどれん♪ #2
工場からの帰り。今日は公園のゴミかごに弁当が捨てられていなかったから近くの大きなスーパーに行くことにした。
スーパーで火災報知器をみて「強く押す」って書いてあったから強く押そうとしたけど子供の頃を思い出してやっぱやめた。
小学校だか中学校だか忘れちゃったけどどっちかの時に「強く押す」って書いてあるのを見て押したくなったから強く押した。そしてたらベルがジリリリリリリリってけたたましい音が鳴り出してびっくりして逃げた。「火事です。火事です」ってアナウンスが聞こえたからそっかあれは火事を発生させる装置なんだって思ってきっとあのボタンをおしたらロボットか何かかが火をおこすようにしてるんだと思った。あの赤い丸にはきっとすごい機械が埋め込まれててそれがこのスーパーに隠されているロボットと連動できるようになってるんだ。
でも何でそんなことするんだろう?なんで火をつけなきゃいけないんだろう?あ。でも家にあるコンロもボタンでつけるや。それと一緒か。きっと料理をするときにあのボタンを押すんだろうな。でも火事にならないように火の後始末には気を付けなくちゃね。
あぁ、でもさでもさ。思うことがあるんだ。僕はよく大きなショッピングモールの休憩場所にいるんだけど、そこでたくさんの人を見るんだ。そこにはあかちゃんとか若い人とかおばちゃん、おじちゃんがたくさんいてさ。これぞ老若男女って感じ。でも今目の前でキャッキャッしている子供たちもいつかはおじちゃんおばちゃんになるんだよね。勿論僕も長生きすればそうなるわけだけど。それで、みんな死ぬんだ。でもここにいるみんなが未来で死んでも、この光景は変わらない。何もなければの話だけど。個人の人生は変わるように見えるけど、全体はあんまり変わらないんだ。もちろん目に見えないくらいのスピードでちょっとずつ変わってるんだろうけど。例えば今、人間は本じゃなくて機械をみるようになった。おじちゃんおばちゃんも割合でいったら増えてるかもしれない。まぁそんな感じさ。
あとねあとね。僕気づいちゃったんだ。人間ってサンドイッチだよ。赤ちゃんの時は誰かがお世話しないととても一人では生きていけない。それでおじちゃんおばちゃんになって身体が思うように動かなくなったら介護を受けなくちゃいけない。具がパンとパンに挟まれることでサンドイッチになるように一番大切なのは身体の自由が利く時なのかもな。それが具になってて、具と同じように一番充実してるってことなのかもなって。
サンドイッチっておいしいよね。今僕はたまごサンドイッチを食べてる。この白身と黄身のあんばいがちょうどよくって美味しい。あぁ、でもパンも悪くない。フワフワしてる。ってことはてことはパンも具ほどではないけどやっぱりサンドイッチには欠かせないものだから赤ちゃんも老人も必要ってことになる。ありがとう。サンドイッチ。作った君は天才だ。たぶんね。
その時どこからかおもち食べたいって声が聞こえてきて、僕はもちもちの響きが気に入ってずっともちもちもちもちって言っていたらもちもちがいつのまにかちもちもになってちゅもちゅもになってちゅもちゅもってかわいいなって思っていた。ちゅもちゅもちゃんはどんな顔をしているんだろう。きっとおもちのフォルムをしていて、顔はあのぷくって膨らんだ部分にあるんだろうな。それでくちは3みたいな形をしているんだろう。僕はそれをふーふー3=しながらたべるんだ。おいしそう。
ってな感じで今日も一日終わり。今日も声が聞こえないといいな。
よかった昨日は声が聞こえなかった。ぐっすり寝られたよ。
今日は休みだ。この前は地球を一周したけど今日はなんだか疲れちゃったからやめといた。大丈夫。元気元気。
今日の朝も鶏の胸肉を食べた。歯に肉が挟まっちゃったから歯間ブラシを使った。歯間ブラシの糸はピンと張っていて歯と歯の間に入れたり抜いたりすると気持ちいいんだ。こうやって歯間ブラシを見ているとなんだか武器みたいに見えてくる。歯間ブラシを武器にしたキャラクターっていないのかな。この糸を使って弓みたいにして遠くに攻撃することもできるしぶんぶん振り回して周りの敵を蹴散らすこともできるんだ。歯間ブラシで歯と歯の間を掃除しているとたまにキリキリっと音を立てて入りずらい隙間がある。それでも僕はキリキリっと音を立てて無理やりにでも歯の間に歯間ブラシを差し込むんだ。うん、取れた取れた。後ろのピックで歯をカリカリってやって飽きたらゴミ箱にポイってする。あれ?なんか今の歯間ブラシに赤いのがついてた気がするな。今日赤いもの食べたっけ?人参かな?まぁいいや。
僕は家を蹴っ飛ばしてそのけのびの力だけで、人の食べかけのお弁当が出てくるいつもの場所に行く。すいすいっと。
今日のお弁当には魚が入っていた。お味噌の味かなこれは。何の魚か分からないけどおいしい。相変わらず黒ごまののったごはんともよく合う。ふー満腹満腹。残してくれた誰かに僕は感謝した。
あ。そうそうここにはピアノがある。
僕はピアノが好きだから座って鍵盤を叩く。
きーらーきーらーひーかーるー
おーそーらーのーほーしーよー
この歌は僕の名前が入ってるから好き。明るめの光は苦手なんだけどね。えへへ。
段々指が慣れてくると人差し指だけじゃなくて親指、中指、薬指、小指も使う。身体を揺らして時々ペダルを踏む。僕はピアノと一体化する。ピアノは僕で僕はピアノ。僕は今楽譜の中にいる。頭の中で流れる曲をピアノでそのまま弾く。頭の中で聞こえていたメロディは僕の耳から音として本当に聞こえてくる。メロディは頭の中に優しい情景を浮かべさせて穏やかな心にさせてくれる。僕はゆっくりと溶けて地面に浸かって夕日を眺めて一緒に沈んでいく。ああ今日はこの風景か。どっかで見たような気がするけどどこだったか思い出せない。僕がピアノを優しく弾き終わると誰かが何か言っていた気がしたけど僕はそのままいつもの場所を出た。
今日は公園で野球をしている子たちを見た。カキンと音がする。あのバットは…
その時ズキンっと頭が痛くなる。
代われ…代われ…
声が聞こえる。
うるさい。嫌だね。肉体の主導権は僕にあるんだ。代わるもんか。
近くに水の入ったペットボトルが落ちていたからその蓋を開けて水をごくごく身体の中に入れた。あーいい気持ち。おいしい。ペットボトルを見ると富士山の水と書いてあった。本当に富士山から取ってきたのかな?まぁどうでもいいか。早く帰ろ。
僕の家の近くに秋がいる。虫の声がすごくよく聞こえる。星はよく見えないけど風が気持ちよくて空も心地よく見える。
いつもの場所に置いてあったロールケーキを家に持って帰ってきて食べて冷蔵庫に入っていた飲みかけの野菜ジュースを飲んで誰かが使った歯ブラシでブラッシングをして寝る。
大丈夫。今日も声は聞こえない。火をつける必要はなさそうだ。
野球をしていた。
太陽が眩しいからサングラスをする。
近くに橋が見えて川がちょっと見える。
うわあ、この土の感じ懐かしいなぁ。
雲がものすごいスピードで僕の上を通り過ぎていく。青い空がオレンジ色に変わろうとしている。あの雲パンみたいだな。おいしそう。今日の帰りにパンを買っていこう。焼きたてのクリームパン。この前道に落ちていた焼きそばパンを食べたけどあれも美味しかったな。上に乗った紅しょうががすっごくおいしくて焼きそばの中にはきっと紅しょうがもセットで入っているんだなって。つまり焼きそばっていう円のなかに紅しょうががいるんだなって。目の前でずっと僕に笑いかけてくれる子がいる。
あれ?この子の名前はなんだっけ?
ずっとみんなが何かを話していた。
野球をやるなんて久しぶりだな。あれ?野球ってどうやってやるの?
僕はボールをキャッチボールのつもりでなんとなく投げたらいつのまにか試合が始まっていて僕はバッターだった。でもバットがうまく握れなくて手から滑り落ちちゃった。
あれ?ねぇ待ってよ。
みんなが試合を止めてぞろぞろと帰って行ってしまう。
ねぇ待って。何で?どこ行くの?待ってよ。
たつきくん!そうだたつきくんだ。思い出した思い出した。
あれ?聞こえないの?
待ってよ!ねぇ。待って…
わかってたよ。夢だって。だから起きたんだ。いや、起きたから夢だってわかったんだ。この前帽子が歩いていた時に思い出したのにまた忘れて今度は夢で思い出した。それにしても何でみんな試合を止めちゃったんだろう。不思議だな。
ん?僕の前でこどもが泣いている。あぁそうか。これは僕だ。大丈夫?どうしたの?
その少年はしきりに口をパクパクしている。金魚みたいだ。僕は涙をぬぐってやる。でもぬぐってもぬぐっても涙が止まらない。あ。部屋に水が溜まってきている。栓を抜かなくちゃ。気づいたら僕は腰まで水につかっていた。じゃぶ。じゃぶと音をたてて選の場所までたどり着いて潜って床にたどり着く。それで栓を抜こうとするんだけど全然抜けなくてふ~ん!っていいながら足を栓の横に置いて根の張った巨大な大根を引き抜くイメージで栓を抜いた。そしたらポンって音が部屋の外まで響き渡って水がそこからすごい速さで抜けて行った。僕もそこに吸い込まれて身体が2mくらい伸びた気がした。うわあああ。
わかってたよ。夢だって。だから起きたんだ。
あ。もうこんな時間か。そろそろ工場に行かなきゃ。
今日はまた商品の箱詰めをして商品の点検をしてちゃんと商品がここに送り届けられてるかのチェックをした。
~~ださんの調子はどうですか。という声が誰かの方から聞こえる。あ、あの人いつもの場所によくいる人だ。あの人もここに働きにきたのかな。あれ?でもあの人の名前知らないや。あの人はたつきくんじゃないし…まぁいいか。
頑張ってと誰かに言われた気がしたけど僕はもうすこしで箱詰めが終わりそうだったからそれに集中していた。あ、仕事ももう終わりの時間だ。僕はゴミを一か所に集めて掃除機で吸って中から紙パックを取り出して捨てた。
仕事が終わったからまた勝手に帰る。
家まで月がついてくる。知ってるよ。月はずっとずっとあの建物より遠いところにあるんだ。だからついてくるように見えるんだ。僕もりんごが落ちてこの世の全てに重力が働いている気づけるくらい賢かったらいいのに。サンドイッチじゃだめかな?あ。なんかハムが食べたくなってきたな。あの薄っぺらいちょっとだけしょっぱい味のするスライスハム。僕は豚さんに会いに行って君のおかげで本当においしいハムが食べられるよありがとう。っていうんだ。そしたら豚をスライスして自動でハムにしてくれる機会に入れてしょっぱくしてハムをたくさん作るんだ。ハムとレタスの入ったシンプルなサンドイッチ。あれ?でもだいぶまえに今自分が食べたいと思っているハムとは違うハムを食べたことがある。だれかの食べ残したサラダの容器にそれが入ってた。なんだかそれはスライスハムよりもやわらかくてもっとしょっぱかった。あれ?あれもハムなんだっけ?なんで僕はあれがハムって思ったんだろう?似てたからかな。スライスハムと。いや、そんなに似てないけどな。不思議だな。でも多分あれはハムなんだ。お肉の感じがしたし色もちょっとちがうけど近いと言えば近い。犬にいろんな種類があるようにハムにもいろんな種類があるんだと思う。でも木とか人間に種類があるとはちょっと思えない。少し前に見た茶色の犬と黒色の犬だったらすぐに違うって言えるけど、ミャああああって信じられないくらい大きな声で鳴いていた茶色の猫と真っ白な猫だったらすぐに違いがわかるけど木の違いとか人間の違いって全然分かんないなぁ。あ。でも人間だったら顔が違うのかな。でも犬って顔じゃなくて色とか体形で違いがわかるから…あ、そっか体形だ。僕は体系で人をみわけてるんだ。なんだ、簡単な事じゃないか。人間にも種類があってそれは体系で決められることなんだ。なんだそっかそっか。なんだかハムもやいて食べたくなってきた。ハムってたくさん重ねて焼いたらチャーシューになるのかな?今度試してみよおっと。
あ。カーブミラーに倒れた少年が映ってる。野球のユニフォームを着ている少年。今日の朝泣いていた子。
殺せ。
ああまた声が聞こえる。
頭から血が出てる。助けなきゃいけないのになぜかカーブミラーに近づけなくて僕はその場所から逃げてしまった。あれ?なんかこの光景見たことあるな。知ってるよ。これはデジャヴっていうらしい。
逃げるな。殺せ。アタマヲヨクシテヤローゼ
うるさい。僕は走って家に帰る。
物凄いスピードで走って外灯をビュンビュン通り過ぎるのが楽しくって僕は車になった気分で走った。途中本物の車と衝突しそうになったけどそんなのお構いなしで走り続けた。なんかすごい音が後ろで鳴った気がしたけど僕は今車だからそんなの気にしなくていいんだ。ぶーーんと走っていたら背馳が話しかけてきた。おいおいそっちの道じゃないここを右に曲がって。と言われた。僕は背馳のいうとおりにした。そしたら本当に家についてそのまま家のドアを突き破ってガラスも突き破ってしまったからバックしてそれを無かったことにしてちゃんと家の前でブレーキした。
ものすごいスピードで走ったからかなんだかあたまがすごいくらくらしてぐるんぐるん世界が回っている気がする。僕はなんの薬なのかよくわからない薬を飲んで誰かの飲みかけの水を口の中にがぶがぶ入れて薬をながしこんだ。洗濯機の中にいるみたいにまだ世界はぐるんぐるんとし続けてもしかしたらこの世の全てのものはぐるんぐるんとする運命にあるんじゃないかと思ってこれは大発見だと思って紙にそのことを書こうとしたけど世界がまだグルんグルんしていたから鉛筆で書いた線がゆるゆるしちゃって外で見た山と空の境界線みたいになっちゃった。あれを僕はなんて名付けたんだっけ?忘れた。しばらくするとそのぐるんぐるんとした世界がぐにゃんぐにゃんとした世界になった。あれ?なんだか星が動いている。部屋の中で星が動いてるよ。すごい。すごい。きれいだな。隅っこに鼠色のコートの人が立っている。その人はこっちに背を向けて壁=面と面が交わった線の中点くらいをずっと見続けている。シネとずっと言っている。誰だっけ?あの人誰だっけ?思い出せそうで思い出せない。最近こんなことが多い気がしなくもない。頭の中の引き出しを探して探して手当たり次第に開けようとするけどその開けようとしていた引き出しは実は引き出しじゃなくて僕は何もないところから何もないものを出そうとしていて僕がしていたのはただの引き出しを開ける動作で実際には何もしていなかった。あ。でもぐにゃんぐにゃんもやっと落ち着いてきてゆんゆんになって洗濯が終わった。僕はピーピーピーピーと家の洗濯機と同じようにちゃんと4回ピーっていってそういえば電子レンジは5回ピーっていう記憶の引き出しを開けていた。
僕は歯磨きをして電気をけしてサングラスを外した。
今日は寝る前に火をつけた。
ベランダに出て蝋燭をたくさん入れてマッチを擦って鉄の缶の中に放り込む。炎は思ったよりも猛々しく燃え上がってその火の光は天に届きそうだった。僕が見ているあの星に住んでる人にこの暖かい光と温度が届くといいな。
僕はあの星に住んでいる何かにおやすみと告げて眠った。
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