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覚書2

初日のことを思い出した。
一番最初の日。私の角部屋は朝日がすごい差すから、日の光で目が覚めた。
この仕事を始めるために、新しく買い替えたリュックに水筒を入れてドキドキしながら出発した。

お店のシャッターなんて生まれて初めて開ける。
意外と重くて、両手で開けて、それでなんて思ったかな。

ガラスのドアを開けると、木のにおいがした。その空間に嬉しくなった。
まずは掃除をすることにして、部屋の中を掃き掃除した。そしてテーブルを拭いて、室内を動くときに当たるほどある椅子を少し片づけることにした。
部屋の中は移動しやすい方がいいかな、などと勝手に来てくれる子のことを想像しながら…。

壁一面に貼られた願いの紙を見た。
下の方を探すと、約2年前に貼った自分の紙を見つけて、またちょっとうれしくなった。
でも保健室の漢字がまちがっててちょっと恥ずかしくなった。
これでも一応先生だったのにね。

それから、カウンターに座ってみた。
カウンターからは目の前の道が大きく広く見える。そこを通る人たちや車もはっきり見えた。
ここをこれからどんな人たちが通って、どんな風に入ってくるのかなと想像するとわくわくしてきた。

一番最初に会ったのはWさんだった。
ずっと画面越しに話していたから、はじめ誰だかわからなくて、それでもそのふわっとした優しい感じが、Wさんだなと思った。
私がガチガチに緊張していたのが伝わったのか、Wさんは「そんなに緊張しなくて大丈夫、youtubeでも見ててください。」と笑ってくれた。

そんな風に、私が思っていたよりもとても穏やかに、最初の日は始まった。

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