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2023上半期 覚書3

「私、インスタとかで見てて、のばらさんの服装とかすごく好きなんです。」
唐突にそう言われたことがあって、びっくりして、会話が終わった後からじんわり嬉しさがやってきたのを覚えている。

別に服装にこだわりがあったりセンスがあるわけじゃない。
kPOPアイドルが好きで、そんな感覚で服を選んでいただけなのである。
だから、この言葉に「私の好き」ごと肯定された気がした。

今まで、「高校生」としてかかわってきたし、高校生もそんなに相談員にそこまで興味があるとはあまり考えてなかったからだ。こんな風に過去の経験を言うのはよくないのかもしれないけど、病院だって学校だって、看護師や教員にそんな言葉をかけることはない。
いつだって一発目は自分が支える側、倒れてくる困難を受け止めてきた。
自分だってもちろん支えられてきたこともあるけれど、それをはじめからあてにして期待したことはない。

だから、そんなふうに「私」という人間に興味をもってくれて、そんなふうに言葉をかけてくれたことにとてもうれしく、ほっとしたのを思い出す。
その時私は、地域に住む一人の人間として、彼女と同じになった。

たぶんそれがとても嬉しかったのだと思う。

赴任した最初のころ、どうしたら遠方から突然来た異邦人が、地域に溶け込んだこの場所になじむことができるのかと聞いた時、ある子はすぐにこう答えた。

「ずっといればいいよ。」

本当にその通りだ。最初の彼女の言葉によって、少しはなじむことができていたと、言っていいだろうか。

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