のばらん

あるところで編集のような仕事をしていたそうな。ただのオタクがそのまま大きくなったような…

のばらん

あるところで編集のような仕事をしていたそうな。ただのオタクがそのまま大きくなったような。 美しいものが好き。

最近の記事

安西水丸さんのメモ

あるファッションメーカーの小冊子の編集をしていた時のこと。当時はメールなんかもちろんなく、電話をして表紙絵を依頼したいクライアント(今もこの名称でいいのかどうかはまた別の話)につなぐ…という役割だったと記憶しているが定かではない。 しかし、すでに売れっ子イラストレーターであった水丸さんのこと、電話ですぐにつかまるはずもない。何度も電話をし、直接話すことはできなかったがとにかく留守番電話に用件を吹き込むことにした。そして、手順を踏んでなんとか依頼を受けてもらうことができたのだ

    • ニューヨーカーという雑誌を知っていますか

      かつて編集の仕事をしていた身としては、とあるPR誌で村上春樹に原稿を書いてもらったことはかなり印象に残る出来事だった。 ファッションメーカーの株主に配布する数ページの小冊子だった。そのトップを飾るエッセイ数枚である。直接電話して依頼した。OKだった! はじめから受けてもらえるなんて考えもしなかったから、喜びもひとしおというところだった。しかし『ノルウェイの森』以前なのか、以後なのかまったく覚えていない。ありえない。まあ、なんで受けてもらえたのか? とまでは思わなかった。と

      • 萩尾望都 「ビアンカ」を読んだ頃

        ぼうと? …じゃないよね。 著者名をなんと読むのか、まだ知らなかった。しかし、読んだあとに受けた衝撃は決して忘れなかった。たったの16ページ。 その作品は、妹が買った『サインはV!』(原作・神保史郎 漫画・望月あきら)の総集編が載った少女フレンド増刊に掲載されていた。 折にふれ、その雑誌を取り出しては思いだしたように読み返した。 画家である老婦人は追想するーー子どもの頃のビアンカのことを。森にひとりでいた少女のことを。 「その姿を表現するために私は画家になったのです

        • お楽しみはこれからだ

          和田誠さんの訃報が届いた。 キネ旬の連載をまとめた和田さんの書籍のタイトルが「お楽しみはこれからだ」である。読者賞を何度も獲得して、パート7くらいまで(?)出たということは映画ファンなら誰でも知っていることかと思っていたが…どうもそうではないらしい。 本は古本以外で手に入れるのはもはや困難のようだし。この本がバイブルのように書棚にならんでいたのは、私が社会人になってすぐ後のことだったからだ。嗚呼! 和田さんが嫌悪するカバーをかけて、そのうえに自分で彼風のイラストを描き、

        安西水丸さんのメモ