弟の死から10年経った
10年前、弟が死んだ日、まさしく地獄だった。
僕が住んでいる世界がガラリと変わった日だ。
目の前には冷たくなって、息のしない弟がいた。
荼毘に付すまで一緒にいたけど、解剖で体が傷つけられて、血も出ていて、皮膚は縫われていた。
弟なのに、生きていない。当時も今も状況が全く理解できない。今もまだ飲み込めていない。
家族の猫は死臭を嫌がったのか、弟に近づくのを嫌がっていた。
弟は前日まで元気だったそうだし、本人も寝ている間に死んでしまうなんて、知らなかっただろう。弟の部屋には、仕事