![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/138989777/rectangle_large_type_2_26ab04498af34d497a738c16fdbcc83d.png?width=800)
【15行小説】散歩と噂にご用心
私の日課は近所のカフェに行くこと。
散歩がてらにちょうどいい。
鳩に餌をあげる老婆、ランニングする男性、花を配る女性。
この街には素晴らしいものばかりある。
帰りにいつも花をもらい、花瓶に入れる。
太陽に照らされた白い花は部屋を明るくさせた。
この街の欠点は住民が噂好きってこと。
鳩に餌やるな、だの、あの人は先週から花配り始めただの。
あの人は最近機嫌がいいだの、あの人は肌艶良くなってるだの。
私には関係のないことだ、おもしろがっていた。
その日の夜。
テレビに花配りのあの女性が映っていた。
夫を殺し、庭に埋め、その上で花を育てていたらしい。
そのテレビには白く、天まで届きそうなほど成長している花が映し出されていた。
私は急に寒気がし、後ろを振り向くとそこには、花びらに赤黒いまだら模様の描かれた枯れかけの花が花瓶に刺さっていた。
ノアの他の作品はこちら⬇️
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?