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不登校エッセイ#9 金閣寺と銀閣寺どちらが好きですか?

むかしむかし小学生のころ。

社会の授業で先生がみんなに聞いた。

金閣寺が好きなひと!」
「ハイ」

銀閣寺が好きなひと!」
「ハーイ!!!」

クラスのほとんどが銀閣寺を選んだのには理由がある。

授業のはじめ、先生がこんな話をした。

「日本にはわびさびという言葉があります。質素なもの、古くなったものをうつくしいと感じる心のことです」

それを聞いて、みんなは銀閣寺を選んだ。

でも、わたしは銀閣寺を選ばなかった。
金色に輝く金閣寺がキレイだと思ったから。

右にならえができない子どもだった。
みんなと一緒が苦手な子どもだった。

学年が上がるにつれてだんだんと
みんなと同じものを選ぶようになった。

学校に通って
会社に入って
結婚をして
母親になったけれど

最近になって、ふとおもう。

不登校になった我が子は
金閣寺を選んだころのわたし
なのかもしれない。

今も、学校にいかずにひきこもっている息子。

もしかしたら息子は
わたしが歩くはずだった道を
歩いているのかもしれない。

#不登校エッセイ


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