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回想

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「私」という人間。本当の私とは何だろう。私は何を考え、何を感じていたのだろう。貴方から見た私は、幸せそうですか?
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回想 (2)

―― 息が・・苦しい。

カーテンの隙間から、うっすらと月の光が部屋を照らしている。

ベッドで横になっていた私は、息苦しさで目を覚ます。どうにか楽な体勢にしようと体を起こしたが、なかなか発作は治まらない。私は喘息だった。

息をすると、胸がヒーヒーと音を立てる。胸のあたりを手で押さえながら、ベッドを抜け出すと、よろよろと階段へ向かった。激しい咳が何度か廊下に響き渡る。私は、手すりを必死に掴み、お

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回想

―― 廊下を急ぎ足で過ぎてゆく母の姿。

母は出掛ける時、いつも重そうな荷物を持っている。母は、私に「いってきます」という類の言葉は言わない。何も言わないし、私に触れることもない。

反射的に私は、短い足で和室の方へ走っていく。和室に置いてある、いつも祖父が座っている革張りのソファーによじ登る。庭に面した和室のガラス戸は、半分下側が葉っぱ柄の曇りガラスになっているので、小さい私は、このソファーによ

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回想 (1)

―― 皆が一斉に、明るい方へと駆け出していく。

薄暗い広い部屋。前方には長い机がいくつかあり、小さな椅子がそれを囲うよう不規則に並んでいる。壁には、色画用紙と折り紙で作ったお花畑があり、その端には先生が弾いてくれる、黒いピアノがある。

ぽつんと残された私は、後方にある沢山の荷物が並んでいる棚から、自分の名前が書いてあるピンクの箱を取り出す。それを床に置いて、蓋を開けると、中には先端にお花柄のカ

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