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物事には必ず意味がある

私は現在無職。それまでは正社員としてフルタイムで働いていた。

退職のきっかけは結婚&夫の仕事に伴う海外移住。現地の弁護士に配偶者である私の就労に関する規定について確認し、キャリアを継続するために移住後に現地で仕事を探すつもりでいた。

ところが、なんと。移住まであと半月というタイミングで、就労許可証取得条件の関係で現地での私の就労が難しいとの事実を知ることに。その頃は既に退職をし契約していたマンションの引き払い日まであと僅か、家財道具などの売却や破棄など移住に向けて着々と準備をしていたタイミング。

働くことができない。その事実を知った時は絶望感に襲われ、あんなに楽しみにしていた新生活が一気に怖いものへと変わった。何が怖いのか。それは、これまで一生懸命積み上げてきたキャリアが失われるかもしれないという不安。

「これもきっと、何か理由があるはず」

物事には全て意味があると昔から口癖のように信じてきたため、その時はまだその『理由』はわからずとも、目の前にある恐怖心を抑えるべく繰り返し自分に言い聞かせていた。

家族や友人からは「今まで忙しく頑張ってきたのだから、ゆっくり過ごすのも良いと思うよ」と励ましてもらい、それもそうだと何とか前向きに捉えるようにしていた。

ところがいざ、移住したところ。

あぁ。もう不安と焦りの毎日に押し潰されそうになる自分。気づいたら求人情報ばかりに目を通している。「やっぱり無理だよね」「今はゆっくりする時」そんな事を考えながら朝起きてから夜寝るまで、家事を一通りして暇つぶしのテレビ鑑賞の繰り返し。あれ、一日ってこんなにも長かったっけ?そしてまた求人情報を検索。

仕事ができないストレスは溜まる一方で、言葉の壁や気候・文化の違い、インフラの不備がどうも目につく。蛇口からの水も安全に使えなければ、大気汚染も気になるため室内の空気の入れ替えもどこか落ち着かない。夫との新しい国での新しい生活を楽しむ心の余裕はなく、全てマイナス要素に捉えてしまう。挙げ句の果てには夫に八つ当たりする日々。

なんのために結婚して、なんのために一緒に住んでいるのか。

そうこうしながらも数ヶ月が経ち、現地での生活も少し慣れてきたところで日本へ一時帰国。以前より子供が欲しいと夫婦で話していたので、クリニックにて検査を受けたところ男性不妊が発覚。そして私は高齢出産に分類される年齢。すぐにでも不妊治療を始めた方が良いとのこと。

夫と話し合った結果、私一人日本へと戻り治療に専念することに。

まだ新婚のうちの遠距離婚。そして引き続き私は無職。

有難いことに私の親はとても元気。しばらくの間実家へ戻ることも温かく受け入れてもらえた。幸い義理の両親も治療を受けること、実家に戻ることに理解を示してくれている。

あの時、もしも移住先で就職していたら。残念ながら医療水準もあまり整っているとはいえない国。言葉の壁もあり、現地で治療を受けることができたとしてもそれは今以上に不安なものだったかもしれない。

日本で不妊治療に専念する。

あぁ。もしかしたらこれがその『理由』なのか、と今となってはそう考えることができている。

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