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第十二章 想い出②

全日本ホストグランプリ大会当日。

とうとうやってきた、この日。

一哉が開け放したカーテンの隙間から見えるのは、青空。

晴れ渡った空。

雲一つない。


「梨紗、オレ早く行かなくちゃならないから、後で会場で逢おう!」

「うん、頑張ってね♪」

「まあ、オレはコメントとかするだけだけどね。ねえ、このスーツどう思う?変じゃない?本当は、こっちのスーツと悩んだんだけど」

「え、だってこのスーツ、今日の為に買ったヤツじゃん!絶対にこっちがいいよ!」

「だよな。よし、じゃあ行ってくる!」

チューッと長いキスをして、一哉は寝室を出て行った。

「あ、ねえ!一誠、車で行かないでしょ?」

「酒飲むからな。梨紗も飲むんだから、車で来るなよ?あそこら辺、駐車場自体少ないし。てか、タク代持ってんの?」

あたしが仕事復帰しても、仕事をしていなかった時のようにあたしのお財布の心配を未だにする一哉笑。

「あるから大丈夫!後でね♪」

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」


あたしはまだもうひと眠りしようと思っていたが、アドレナリンが出ているのだろうか、興奮して眠る事ができない。

一哉だって、やけに楽しそうだった。

あたしも。

あたしだって、楽しみだ。

一哉は勿論だが、全国の店のナンバーワン達が一堂に会するのだ。

興奮しないわけがない。

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