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歌詞に漫画のタイトルが出てくる曲 3選


音楽において歌詞に映画や小説のタイトルが引用されているケースはそう珍しくないだろう。
有名なところで、ミスチルの"ビデオに撮った「ショーシャンクの空に」〜''(one two three)
や、Creepy nutsの"ダークナイトで言えばジョーカー ブラックレイン 松田優作"(助演男優賞)

ぱっと思い浮かぶだけでも3作品も引用されてるではないか。

しかし、漫画はどうだろうか。
一度思い浮かべてみてほしい。
行け!稲中卓球部」や「ハイスクール!奇面組」が歌詞に出てくる曲があるだろうか?
(もちろんアニメ主題歌におけるタイトル連呼は除く)


今回、僕の偏った音楽趣味の中から振り絞って出した、"歌詞に漫画のタイトルが出てくる"3曲を紹介したい。


どこに需要があるのかはこの際考えない事とする。

以下、「だからどうした」っていう話


1曲目:高層ビルと人工衛星/teto 

理屈抜きのどストレートにかっけぇ曲。
2番Bメロの歌詞に注目してほしい。

"繕いもせずに産声をあげる赤ん坊のように成りたくて成りたくて"
"初めて手にした岡崎京子の Pink を理由にするには十分過ぎた"

はい、作者名までしっかりと頂きました。
ここの歌詞、ほんと秀逸だと思う。
漫画のタイトルと作者名を違和感なくぶち込んどいてここまでかっこいい歌詞になるなんてどうかしてるよ。
このバンド、この曲調に対してはもう岡崎京子のPink以外ありえないもん。

一応、元ネタ漫画の紹介も。

 pink/岡崎京子

「リバーズ・エッジ」「ヘルタースケルター」等で知られる岡崎京子による1989年の作品。
昼はOL、夜はホテトル嬢として働くユミちゃんの日常が描かれているが、作品全体の陰鬱とした空気感が独特である。
個人的に、主人公ユミちゃんのキャラクター造が大好き。言動や性格、随所に挟まれる独白から思想までもが感じ取れ、とても1巻完結ものとは思えない深みのあるキャラクターとなっている。

やはりこの作品自体、(岡崎京子という人物も含めて) tetoの疾走感や衝動といった要素にとてもマッチしていると思う。
そんなtetoだが、先日メンバー2名の脱退が発表された。もうライブで4人を見ることが出来ないと思うと非常に残念だ。
が、8月には新譜も控えているのでひとまずは心待ちにしよう。


2曲目:遊んで暮らして/柴田聡子

遊んで暮らしてえよ。
やわらかな歌い方とは裏腹に決して緩くはない歌詞が素敵。

2番の歌詞に注目

"るきさん読んだってあきらめつかない
横たわる日々の膝裏の汗"

こちらも、この曲なら「るきさん」しかねぇよなあと唸らされる。
何なんだろう。作詞できる人みんな天才か?

 るきさん/高野文子

いつでもマイペースな独身女性"るきさん"が主人公の日常漫画。
見開き1話完結もので、ふと読みたくなるお守りの様な作品。
全編オールカラーなのだが色づかいが抜群に良く、どのページもポップでかわいい。

コンパクトな文庫版も所持しているが、文字が小さいため苦手な人は単行本をお勧めする。

ちなみに、柴田聡子の「結婚しました」という曲では"箱の中身はちばてつや"というフレーズが登場する。


3曲目:不完全熱唱/野狐禅

歌詞が面白い一曲。
最後の歌詞から抜粋。

"洋式便器に腰掛けた 貯水タンクを背もたれにした"〜(一部省略)〜
"便秘の苦しみから抜け出してやろうとかなんとか
そんなことははっきし言ってどうでもいいのでございます"
"問題ははたして私のこの姿が『あしたのジョー』のラストシーンと同義であると言えるかどうかなのでございます"

先程のちばてつやの伏線が回収された。
先の2曲が1漫画作品として描写しているのに対して、この曲は"便器に座る自分の姿"に主人公・矢吹丈の有名すぎる一場面を挙げ比喩的な表現として使用している。
歌詞全文を読んでもらうと分かるが、このフレーズを最後に持ってくるセンスがとってもクール。

 あしたのジョー
   /原作: 高森朝雄  作画:ちばてつや

最早説明不要の名作。
いつか改めて感想を書きたいからここは割愛。

以上、3曲とも共通して言えることは、とにかく作品チョイスが絶妙でアーティストと曲によく合っているということ。
音楽と漫画に限らず、趣味嗜好はどの分野でも相対しているよなって話でした。


おまけ:漫画にまつわる曲たち

歌詞には出ないが漫画が関係する(であろう)曲で特におすすめなやつもついでに紹介。

 漂流教室/銀杏BOYZ

楳図かずおの「漂流教室」から取ったであろう曲名。収録アルバムの中では際立ってキャッチーでポップな名曲。
歌詞の内容は特に作品と関連していないが、アルバムジャケットが江口寿史のひばりくんである事や峯田和伸の漫画趣味を考えると確信犯だろう。
ちなみに銀杏の前身バンドGOING STEADYの2ndアルバルのタイトルは「さくらの唄」だったりする。
東京パピーズの漂流教室(カバーではない)も良い曲なので是非。


 I've Been Waiting/MatthewSweet

最後は海外から。
古き良きUSインディオルタナを感じる一曲。
曲名も歌詞も漫画要素はないが、MVを見てほしい。
どっかの誰かが作ったMADかと思われるかもしれないが、公式なんだなこれが。
マシュースウィートは生粋の日本漫画・アニメオタクで、他の曲ではコブラのアニメ映像が使用されていたりする。
中でも「うる星やつら」がお気に入りらしく、肩にはラムちゃんのタトゥーが入っているほど。覚悟が違う。
来日の際には念願の高橋留美子先生に会えたそうで何より。

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