観た映画の感想 #106『シティーハンター』
NETFLIX版『シティーハンター』を観ました。
先に結論だけ言ってしまうとですね、100点満点中5億点です。
いやーーーーーーーーーーーーーーーーー本っ当に最高でしたね。
最初に出たティーザーを観た段階で「これはかなり良い出来になってるんじゃないか……?」という予感はあったんですけど、実際観てみるとその予想を遥かに飛び越えて素晴らしい完成度でした。今のところ今年観た映画でベスト級まである。
まず、鈴木亮平さんの仕上がりっぷりがもう完璧すぎるわけですよ。
元々演技力、とりわけ「実写化」に関して期待を裏切らない人だということは分かっていましたけど、ご本人も「いつか冴羽獠を演じたい」と常々仰っていただけあって役への入れ込み方と解釈の深さが今回は尋常じゃなくて。
アクションのキレ、銃の扱いの上手さ、コメディとシリアスの振り幅の広さとどれを取ってもイメージ通りの冴羽獠そのもの。
ド派手な戦闘シーンとかクラブでの裸踊りショーみたいな分かりやすくキャラが立つ場面だけじゃなくて、例えば裏カジノでチンピラが「冴羽……ってことはシティーハン……」って気づいたのを「それ以上は言うなよ?」って視線だけで制するシーンとか、ちょっとした仕草だけで人物像を語る演技力もさすがでしたし、冴羽獠って本質的にはものすごい寂しさを抱えてるのを耐えてる人だと思うんですけど、それをふとした表情に込めるのもすっごく上手かった。
鈴木亮平さんに限らず他のキャストの皆さんもそうだったんですけど、原作のキャラクターにそこまで似てるわけではないと思うんですよ。だけど槇村は槇村だったし香は香だったし冴子は冴子でしかなくて、みんなハマり役だなー! という風にしか見えなくて。NHKの『岸辺露伴は動かない』とか観てても思うところですけど、やっぱり漫画・アニメの実写化に必要なのって単に見た目を寄せるとかただ原作にある台詞をそのまま再現するとかじゃなくて、どれだけ解釈を深められるかってことなんだなあと。
その象徴の一つだと思うのがコスプレ会場での一幕。
「股間から馬の頭が生えてる獠」って原作とかアニメだとギャグシーンにおける誇張表現だと思うんですけど、それを「コスプレイベントなんだから馬のフィギュアくらいあってもいいだろう」って理屈をつけつつ、敵がくるみちゃんを狙って狙撃してくる麻酔弾を馬の頭を使ってパリィする、という、ちゃんとシナリオの流れとアクションに必要なものになってるんですよ。こういう漫画ならではの味を実写に落とし込むバランスも上手かった。
(そして、なんで香がハンマー持ってるのかっていう理由付けをここで同時にするのも上手かった)
あと、シティーハンターらしさを損ねずに現代の価値観に合わせるチューニングの匙加減も絶妙で。
美女に目がないところとか女性への下心全開なモーションのかけ方とか、勿論そこが冴羽獠の魅力であり重要なキャラクター性ではあるんですけど、でも今の視点で見ると「これ現代劇としてやるのはちょっとキツくないか~?」って思うところもあって。少し前にやってたアニメ版の映画(『新宿PRIVATE EYES』と『エンジェルダスト』)もよく出来た映画でしたけど、正直そこのところがちょっとキツいな……って感じる部分もあって……
でも今作はその塩梅がすごく丁度よかった。これ以上綺麗にしちゃうと「シティーハンターの冴羽獠」じゃなくなっちゃう、っていうラインと、現代劇としてやるならこれくらいの塩梅だろう、っていうラインのぴったりなバランス。これもたぶん鈴木亮平さんの演技の匙加減が大きいんだろうけど。
強いて言うなら、水崎綾女さんを黒幕(に近いポジションの役)として出すんだったら彼女にもアクションさせて欲しかったなーっていうのはあるんですけど、惜しいと思ったのはそれくらいで、現状できるシティーハンターの実写化としてはこれ以上ないくらい完璧な一作なんじゃないかと思います。あとはもう、これ一作と言わずシリーズ化して欲しいの一言ですよね。だって「獠と香のシティーハンター」としては今作がエピソードゼロな作品ですし、それでいてエンジェルダストの名前もユニオン・テオーペの名前もしっかり出すってことはそういうことだと思ってもいいんですよねえ!?
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