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観た映画の感想 #35『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を観ました。

監督:アーロン・ホーヴァス、マイケル・ジェレニック
脚本:マシュー・フォーゲル
出演:クリス・プラット、アニャ・テイラー=ジョイ、チャーリー・デイ、
ジャック・ブラック、セス・ローゲン、キーガン=マイケル・キー、他
日本語吹替:宮野真守、志田有彩、畠中祐、三宅健太、関智一、武田幸史、他

ニューヨークで配管工を営む双子の兄弟マリオとルイージ。
謎の土管で迷いこんだのは、魔法に満ちた新世界。
はなればなれになってしまった兄弟が、絆の力で世界の危機に立ち向かう。
(任天堂公式サイトより)

https://www.nintendo.co.jp/smbmovie/

結論から言ってしまうと、まごうことなき「マリオの映画」であると同時に、「ゲームの映画化」としても屈指の出来だと思います。いや最高!
(了)

正直もうこれでいいと思うんですけど、それだけだとTwitterで十分だろって話になるのでもう少し。

ゲームを映画化した映画って他にも無数にあるわけですけど、それらと今作の決定的な違いってマリオというゲームの圧倒的な知名度だと思うんですよ。それがめちゃくちゃ生きてて、世界観とか作品内のルールをいちいち説明しなくても「みんなが知ってるマリオ」になる。
例えばキノコ王国に来たばかりのマリオが「なんでこのブロック浮いてるの~?!」って驚くシーンがありますけど、大半の観客はそんなのいちいち説明しなくても分かるわけですよね。これはそういうモンだからって。

他にも
「キノコを食べるとパワーアップする」とか
「花を取ると火の玉が出せるようになる」とか
「土管に入るとワープする」とか
「カメを踏むと首と手足が引っ込んで投擲武器にできる」とか、
よくよく考えたら「何だそれ?」ってなりそうな設定にも十分に強い認知度があるので、ただそういうものとして話を進めることができるわけですよ。
これは他のゲームには真似できないことだと思う。

本作、とにかく「これ知ってる!」とか「これ見たことある!」が畳みかけてくる映画なんですよ。マリオのゲームを全部遊んだわけじゃなくてもそう感じることができる。これ本当に凄いことじゃないですか?

しかも、そういうゲームらしさが単なるファンサービスじゃなくて「ゲームを映画化するにあたって必要になるシナリオ」としっかり結びついてるのも凄い。
例えば、ルイージはマリオとはぐれて一人になってからずっとホラー映画的な状況に陥るわけですけど、あれって「気弱で心配性な性格のルイージがよく分からん世界で兄と離れ離れになってしまってナーバスになってるところに追い討ちをかけるように恐怖が襲い掛かってくる」というシナリオ上の流れと「ルイージが一人で何かをやるゲームと言えばルイージマンション……つまりホラーだ!」っていうゲームからの文脈が完全に一致してるんです。

あるいは、ドンキーコング達が住むジャングル王国からキノコ王国に向かうシーン。そこそこ長い距離、それも空中をカートで走る……だったらコースはレインボーロードですよねー! とか。

ゲームを映画化するためのシナリオそのものも個人的には上手いなーと思いました。もし現実の世界にマリオが存在するとしたらイタリア系移民一家、なるほどなーという感じだし(作品の雰囲気は真逆だけどゴッドファーザーPart.2を連想しました)、さらわれるポジションのキャラクターがピーチ姫ではなくルイージだというのも終盤の展開を考えれば良いでしょう。

個人的にはカメックがちゃんと力のある魔法使いだったというのもすごく良かった。というのはスーパーマリオワールドを初めて遊んだ子ども時代、カメックってすごく強くて怖い敵キャラっていう印象だったからなんですよ。この気持ち、スーファミリアルタイム世代には分かっていただけると思う。

あと、やっぱり宮野真守さんはとてつもない芸達者だなあ!
今回は吹き替え版で観たんですが、宮野さんの声でもあり、よく知ってるマリオの声でもあり、っていう絶妙な演技をされていたと思います。「ィヤッフゥー!」とか「ホッ! ハッ! ハッハァ!」みたいな掛け声の本家トレースもすごい上手かった。

どの世代のどんな人でも何も考えずに観られて、1時間半できっちり楽しめる極上エンタメってそうそうできることじゃないと思います。マリオというキャラクターのパワーをとことん詰め込んだ大傑作。オススメ!

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