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観た映画の感想 #57『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』

『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』を観ました。

監督・脚本:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ヴィゴ・モーテンセン、レア・セドゥ、クリステン・スチュアート、スコット・スピードマン、ドン・マッケラー、ベルゲット・ブンゲ、他

そう遠くない未来。人工的な環境に適応するため進化し続けた人類は、その結果として生物学的構造が変容し、痛みの感覚が消え去った。体内で新たな臓器が生み出される加速進化症候群という病気を抱えたアーティストのソールは、パートナーのカプリースとともに、臓器にタトゥーを施して摘出するというショーを披露し、大きな注目と人気を集めていた。しかし、人類の誤った進化と暴走を監視する政府は、臓器登録所を設立し、ソールは政府から強い関心を持たれる存在となっていた。そんな彼のもとに、生前プラスチックを食べていたという遺体が持ち込まれる。
(映画.comより)

https://eiga.com/movie/97009/

すごく楽しみにしてたクローネンバーグお父さんの新作。
いやーめちゃめちゃ楽しかった! 話の中身というか物語的な意図を上手く理解できたかって言われると正直かなり怪しいところではあるんですけど、クローネンバーグの映画ってむしろ置いてけぼりにされることを楽しむくらいの距離感で観るのがイイと思ってる節もありますし、難解さで言えば少し前に4K版が上映されてたヴィデオドロームよりは全然観やすいほうだと思いますし、なんならド直球のクローネンバーグイズムが凝縮された作品としてここから観始めるくらいでもいいんじゃないかと思ったくらい。
有名なのはザ・フライとかだと思うんですけど、あれはグロさがちょっと初心者向けではないような気もするし……

パンフレットを読むとクローネンバーグ監督って技術は人間の身体の延長であるってことを繰り返し言ってて(ちなみにこのパンフレットもめちゃくちゃ読み応えがあって、本としてのデザインも凄く凝ってるのでマストバイであります)、そう考えると本作における「プラスチックを食べられるようになった人間」っていうのも環境の変化に適応するための技術を身体に内在化させたとも言えるし、それを「人類の”正しい”進化とは認めない」勢力がいるっていうのは、これまでもクローネンバーグ映画で繰り返し描かれてきた身体が変われば内面も変わっていかざるを得ないっていうことの裏返しなのかなーと。

そういう小難しいこと抜きにしてもヘンテコなガジェットてんこ盛り映画としても最高でしたよね、これ。オーキッドベッドとかSARKのエイリアンちっくな(というかギーガー的な)生物と機械が融合した感じのデザインとか、ブレックファスターチェアのデザインとか。ブレックファスターチェアのあのデザインで「それ本当に食事の補助になってるのか……?」っていうガギガギした動きを延々してるのとか本当に最高。

80歳にしてまだまだ衰え知らずどころかこんなにもオンリーワンで尖った映画を撮れるのって信じられないし、頭の中には常人離れしたアイディアもまだまだたくさん詰まってると思うので、一つでも多くそれらを見せて欲しいなあと思う次第。

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