記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

観た映画の感想 #115『デッドプール&ウルヴァリン』

『デッドプール&ウルヴァリン』を観ました。

監督:ショーン・レヴィ
脚本:ライアン・レイノルズ、レット・リース、ポール・ワーニック、ゼブ・ウェルズ、ショーン・レヴィ
出演:ライアン・レイノルズ、ヒュー・ジャックマン、マシュー・マクファディン、エマ・コリン、モリーナ・バッカリン、ロブ・ディレイニー、レスリー・アガムス、カラン・ソーニ、ステファン・カピチッチ、ブリアナ・ヒルデブランド、忽那汐里、ルイス・タン、ダフネ・キーン、ウンミ・モサク、他

不治の病の治療のために受けた人体実験で、自らの容姿と引き換えに不死身の肉体を手に入れた元傭兵のウェイド・ウィルソンは、日本刀と拳銃を武器に過激でアクロバティックな戦闘スタイルのデッドプールとして戦いを続けてきた。戦う理由はあくまで超個人的なものだったが、そんな彼が世界の命運をかけた壮大なミッションに挑むことになってしまう。この予測不可能なミッションを成功させるため、デッドプールはウルヴァリンに助けを求める。獣のような闘争本能と人間としての優しい心の間で葛藤しながらも、すべてを切り裂く鋼鉄の爪を武器に戦ってきたウルヴァリンは、とある理由で、いまは戦いから遠ざかっていたが……。
(映画.comより)

https://eiga.com/movie/101242/

MCUには「ずっと観てきたファンへのご褒美」みたいな映画がたまにある。
アベンジャーズをずっと観てきたファンへのご褒美としてのエンドゲームとか、スパイダーマンをずっと観てきたファンへのご褒美としてのノーウェイホームとか。映画じゃないけど『ロキ』のシーズン2もロキというキャラクターをずっと観てきたファンへのご褒美みたいなドラマだったかも。

そういう点でいくと今回は「MCUよりも前からマーベル映画を観てきたファンへのご褒美」、もっと言うならMCUがMCUになるにあたって傍流にしてきたものたちへの愛で出来てる映画だったなと。

崩壊した20世紀FOXのロゴが埋まってて、旧シリーズの(つまりクリス・エヴァンス版の)ヒューマントーチを筆頭にFOXのマーベル映画のキャラクター達がいる「虚無」、TVAが変異体としてMCU「じゃない」ヒーロー達を送り込んでるのがそういう場所だっていうのは、巨大になりすぎてそれ自体が神聖時間軸みたいになりつつあるMCUとそれ以外の映画群との対比に他ならないわけで。
「FOXがディズニーに買収されて、これからはX-MENもファンタスティックフォーもMCUに出せるぞ!」っていうのはその通りではあるけど、でも俳優も世界線も変わる。SONYがやってるスパイダーマンのヴィランシリーズにしたって、トム・ホランドのスパイダーマンを通じてMCUと繋がりを作ろうとしてるんだかしてないんだかいまいち煮え切らないシリーズになっちゃってるのが現状で。
大MCU史観というか、全てがMCUにリデコされて回収されていくかのような現状に対して、かつてのオリジナルキャストが大集合して「マーベル映画ってそうじゃなかっただろ!!」という一矢を報いる。これが旧シリーズへの愛じゃなくてなんだってんですか。初めて観たマーベルヒーロー映画が『ブレイド』だった者としてはウェズリー・スナイプスがブレイドを再演してくれたのがもう本当に嬉しかったし(ここでMCU版の製作がごたつきまくってる現状に対して「ブレイドはずっと俺一人」とキツめの皮肉を投げるのがまた『デッドプール』らしくて良かった)、やっぱりヒュー・ジャックマンのウルヴァリンは特別ですよ。黄色いスーツを着てデッドプールと並んで歩くシーンは予告でも散々見たけど、そこからあのマスクを! 実写版で遂に! 初めて! 被ってくれるんだもん!

こんなことが可能になったのはデッドプールというキャラクターの特異性は勿論のこと、映画としてのデッドプールが下ネタやゴア表現満載な作風とは裏腹に「ヒーロー論」というものに対してはものすごーく真摯で真面目なシリーズだったからだと思うんですよ。これはライアン・レイノルズ本人の力もあるし、1作目からずっと脚本で関わってるレット・リース、ポール・ワーニック両氏のシナリオ力の賜物ですよね。今のディズニー-マーベル体制でここまでやれる人、このチーム以外にあまりいないんじゃないかしら。

強いていうなら今までのMCU映画にそういう傾向があったように、ヴィランに存在感があまりない(というか設定上の強さに対して1作限りの使い捨て感がひどい)というのはありましたけど……プロフェッサーXの双子の妹なんて使いどころの宝庫すぎるでしょ、カサンドラ・ノヴァ。

結論としては今作と一番テイストが近い映画はたぶん『劇場版仮面ライダージオウ Over Quartzer』です。一つの大いなる潮流に対しての「そっちじゃない」勢からのカウンターという意味でも。

もし今作を作ったのが東映だったら、最後は巨大化したボブ・アイガーにデッドプールとウルヴァリンを先頭にしたFOX版ヒーロー達が一斉に必殺技を叩きこむ(そしてアイガーが持ってるバリアに「20thCenturyFOX」の形の穴が空く)展開になってたと思いますね(

いやーでも本当に楽しい映画でしたよ!
エンドゲーム以降のマーベル映画で一番ワクワクした。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?