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観た映画の感想 #67『BAD LANDS バッド・ランズ』

『BAD LANDS バッド・ランズ』を観ました。

監督、脚本:原田眞人
出演:安藤サクラ、山田涼介、生瀬勝久、宇崎竜童、大場泰正、天童よしみ、𠮷原光夫、江口のりこ、渕上泰史、サリngROCK、他

大阪で特殊詐欺に手を染める橋岡煉梨(ネリ)と弟の矢代穣(ジョー)。ある夜、思いがけず3億円もの大金を手にしたことから、2人はさまざまな巨悪から狙われることとなる。
(映画.comより)

https://eiga.com/movie/99597/

山田涼介くんが凄くよかったんですよね。
こういう映画ってちゃんと上手い役者が揃ってないとダメダメになっちゃうタイプの作品だし実際周りの俳優さんも漏れなく上手い役者なんだけど、そこに混ざっても全く違和感なくやれているし、なんとなく彼の役者業って本人の頑張りに対して作品にあまり恵まれてないイメージが(主にこれのせいで)あったんですけど、観てる側としてのそこらへんのモヤモヤも綺麗に吹き飛ばす快演でしたね。

作中に何度か出てくる、ネリ姉と一緒にコーヒーを飲むシーンが印象的で、コーヒーに入れた砂糖をスプーンでかき回す仕草が姉弟で全く一緒。これだけで二人のこれまでの関係性というか、どうやって生きてきたかが言わずとも察せる。台詞がなくても良い、むしろ無いから良い。

ジョーは本当にどうしようもないクズだし悪人なんだけど、どこか放っておけない愛嬌も確実にあるんですよね。なんていうか、自分をオオカミだと思い込んでいるミニチュアダックスみたいな……それは山田くんの本来持ってるものと、勿論それをキャラクターとして出力できる演技力あってのことだと思うし。

安藤サクラさんも勿論すごく良かった。
歩いているところを背中側から撮るショットが多かったと思うんですけど、これに限らず安藤さんは歩くシーンが今回とても印象的で。しなやかに、でも常に体に緊張感を漲らせている感じできびきびとテンポよく早足で歩く。世界に対して全く気を許していない人のしぐさというか。これもやっぱり歩き方だけでネリという人がこれまでどういう生き方を強いられてきたのか、今どういう状況に置かれているのかが説明せずとも伝わる。これも役者としての上手さですよね。

あと良かったのは宇崎竜童さんが演じてた曼荼羅ですね。
ネリのドヤ街の日雇い達や受け子達に対する面倒見の良さだったり、ジョーのネリへの親愛だったり、どれだけ底辺に落ちぶれてもどれだけ悪に染まっても手放せない人間としての善性みたいなものが印象深く描かれていたと思うんですけど(なにせ他には純度100%の悪みたいな奴ばっかりなので)、その極みみたいな存在でしたよね。それに普段はすっとぼけてるけど本気出したらやることはきっちりやれるみたいなキャラクターが本当に好きなので……

笑っちゃったのはカメオ出演の岡田准一さん。
登場の仕方からして「あれ……この人岡田准一に似てない?……っていうかこれもしかして……本当に…岡田……准一……?」みたいな、一見では非っ常~に分かりづらい感じの出方をするんですよね。ものすごく本人にそっくりなモノマネ芸人を見てるみたいな感じで……
で、その後のシーンはいつもの絶対強者マーシャルアーツマスター岡田准一を全く隠そうとしない「あの」岡田准一のまんまなので、そこだけ別の映画みたいになっちゃってるのがめちゃくちゃ面白かったんですよね。

それと前々から安藤サクラさんと江口のりこさんはお顔が似てるなって思ってたんですけど、今作の二人は一瞬見分けがつかなくなるレベルで似てた。メリが詐欺のターゲットから金を受け取るのに失敗した後で捜査本部のシーンになり、そこに一瞬見間違えるくらいそっくりな江口さんがいたせいで(これ潜入捜査ものなのか……?)って勘違いしかけたくらいで。

あと、これは予告見た時からずーーーーっと思ってたことですけど、
天童よしみさんに「舐めたらアカンで!」って台詞をあてるのはいきすぎたファンサービスでしょうよ(笑)

こういう、「正しくない」生き方をしている人間がそのまま正しくないやり方で生き方を好転させようとする物語って大体ろくな結末にならないと思うんですけど、それもあってラストの爽やかさにも驚かされました。
何より最初に書いた通り、出演俳優陣がみんなとっても演技が上手い人揃いなんで、お芝居を見てるだけでも楽しかったです。オススメ!

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