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観た映画の感想 #20『マッシブ・タレント』

『マッシブ・タレント』を観ました。

ハリウッドスター、ニック・ケイジは悩んでいた。多額の借金を抱え、心から望んでいた役は得られず、妻とは別れ、娘からは愛想をつかされていた。

「かつて栄華を極めた俺の人生はもう取り戻せないのか――」

悲観する彼の下に、スペインの大富豪の誕生日パーティーに参加するだけで100万ドルが得られる高額のオファーが舞い込む。借金返済のため渋々受け入れ、スペインへ飛んだニックを、彼の熱狂的なファンだという大富豪ハビが待ち受けていた。最初は乗り気ではなかったニックだが、映画の趣味が合うハビと意気投合し、友情を深めていく。ところがある日、CIAのエージェントがニックに接近する。ハビの正体は国際的な犯罪組織の首領で、彼の動向をスパイしてほしいというのだ。ハビとの友情をとるか、それとも国家のために働くのか。ニック・ケイジの俳優人生を懸けた一世一代の大仕事(ミッション)の幕が上がる。

公式サイトより https://massive-talent.net/

いやーすごい面白かった……
何がよかったって全編に渡ってニコラス・ケイジ愛が溢れてるところ。

実在の俳優をその本人が演じる映画っていくつかあるし(『その男、ヴァンダム』あたり)、そうでなくてもキャリアの長い俳優になってくると演じてる役に本人の生きざまが刻印されていくこともままありますよね。それこそスタローンにとってのロッキーだったり、シュワちゃんにとってのターミネーターだったり。最近だと『トップガン・マーヴェリック』のトム・クルーズなんてまさにそうで。

そういう映画って「もう全盛期は過ぎてる」っていう世間の冷やかさに対して「いや俺はまだ終わってねえよ!」っていう俳優側の抗いが込められてることが多いような気がしてて、その力強さがまた美しかったりもするんだけど、今作の場合のそれって基本的にファン目線なんですよ。
「世間がなんだろうが俺にとってのあなたは今でもスターなんだから!」っていう。

作中の”ニック”ってキャリア的には落ちぶれているしお金もないし家族との関係もガタガタだしで結構なダメ人間で(そしてそれは勿論オファーが途絶えたり浪費が続いて借金まみれだったり結婚生活が長続きしないニコラス・ケイジ本人の経歴そのものでもある)、でもそういうダメなところをあざ笑ったり自虐的にギャグにするような映画では決してなくて、むしろ映画人として・夫として・父親としてのニコラス・ケイジが再起していく様がすごく丁寧に描かれている映画なんですよ。

そもそもある登場人物が『コンエアー』を観て「やっぱニコラス・ケイジって最高だわ……」ってうっとりするところから始まる映画だし、ニコラス・ケイジの大ファンだという大富豪ハビの限界ニコラスケイジオタクっぷりも可愛いのなんの。好きすぎてあらゆるグッズ集めちゃうし(※収集に使ったお金は多分あまり綺麗なお金ではなさそうだけど)、信心の伝え方もかなり独特だし(※マフィアだから)、悩みがあるなら自分にできる手助けはしてあげたい(※やり方はかなり強引だけど)、とにかくニコラス・ケイジへの愛と敬意だけはどこまでも純粋なんですよね、ハビ。本当にファンの鑑だしいい歳したおじさんなのに憧れの大スターを前にしてキャッキャしてるのが可愛いし、演じたペドロ・パスカルさんは本当に良いお仕事をされている。

ペドロ・パスカルさん、なーんか見覚えのある役者さんだなーと思ってたけど鑑賞中は何の映画だったのか思い出せなくて、あとで確認したら『ワンダーウーマン1984』のマクスウェルだったんですね。で、色々と調べて行ったらそのマクスウェルの役作りにニコラス・ケイジからの影響があったって記事があるじゃないですか!

ペドロさん自身も元々ニコラス・ケイジの大ファンだったそうで、こっちはこっちで役とのシンクロ率がすごいことになってるのも納得というか。

ニックとハビのブロマンスものとしてかなり熱い映画だったのも予想外だったけど良かったポイント。特にニック視点だと「(ハビとの)友情か、(CIAに与えられた)使命か」なんでRRRに心滾らせたオタクならきっとハマる

作りこみが甘いなーと感じるところは正直いくつかあります。
CIAのエージェントが、特に絡みもなくいつの間にかフェードアウトしてたりとか。特に女性のほうはニックと直接やり取りすることも多かったんだし、退場するにしても何かしら声をかけるくらいのことはあってもよかったと思うんだけど……
でもこういう緩さも逆に味というか、それこそニコラス・ケイジの全盛期と言える90年代のアクション映画ってこういうの多かったような気もするし。

ニコラス・ケイジの主演作を観返したくなること間違いなしの快作でした。若い頃の代表作は勿論、仕事選ばなくなってからの低予算映画もたくさんあるのでおかわりには全く困らない! だからこの機に改めて観よう、ニコラス・ケイジ! それとパディントン2も!


最後にクイズです。
この記事で僕は何回「ニコラス・ケイジ」と書いたでしょうか?

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