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観た映画の感想 #47『M3GAN/ミーガン』
『M3GAN/ミーガン』を観ました。
![](https://assets.st-note.com/img/1686310877893-yRKVoydkNU.jpg)
脚本:アケラ・クーパー
出演:アリソン・ウィリアムズ、ヴァイオレット・マッグロウ、ロニー・チェン、エイミー・ドナルド、ジェナ・デイヴィス、他
おもちゃ会社の研究者ジェマは、まるで人間のようなAI人形「M3GAN(ミーガン)」を開発している。ミーガンは子どもにとっては最高の友だち、そして親にとっては最大の協力者となるようプログラムされていた。交通事故で両親を亡くした姪ケイディを引き取ることになったジェマは、あらゆる出来事からケイディを守るようミーガンに指示する。しかし、ミーガンの行き過ぎた愛情は思わぬ事態を招いてしまう。
(映画.comより)
ものすごーく楽しみにしてた映画です。
ダンスのシーンばっかりがバズったお陰で誤魔化されてるけど、ジェームズ・ワンがプロデュースしててブラムハウスが製作してる映画が怖くないわけないだろー! と心の防御を若干固めにして観に行ったんですが、ホラーそんなに得意じゃない人でもかなり見やすい、というかなんなら家族で観に行っても全然大丈夫な映画になってました。
本格ホラーと言ったらいいのか分かりませんが、最近のホラーって最初から最後まで恐怖ぎっしり、観客に対する殺意高めの映画が多いと思うんですね。それこそジェームズ・ワンが監督している諸作品もそうだし。でもこれは笑えるシーンもあるし、呼吸を整えるポイントがかなり多い。
テクノロジーは既に社会に浸透しているしAIもどんどん発展していくけど、頼りっきりで本当にいいの? という話としては結構真面目な問題提起にも切り込んでいて、そういう意味では社会派SFと言えなくもない。
この映画、ケイディの視点だと信頼できる大人が誰一人いないんですよね。
迷惑な隣人(余談ですが「犬をきちんとしつけない飼い主は悪」という描写をしっかり入れてくれたのもこの映画の好感度高いポイントの一つ)、単にパターンに当てはめただけの対応しかしないカウンセラー、そしてケイディに向き合おうとしないジェマ……。
一方でミーガンはケイディの教育係としても友達としてもメンターとしても文句なしの働きぶりを見せる。そういう対比を見せられると「このダメな大人たちと比べたらミーガンに任せておいたほうが全然良いんじゃない?」っていう誘惑が正しいもののように思えてくる。
そう思い始めてきたところでミーガン・第一の殺害が発生するわけですが、この一見すると理想的に思えるソリューションを提示してから「本当にそれでいいの?」って揺さぶりをかけてくる流れが本当に上手かった。
あとはミーガンのキャラクターとしての魅力も勿論たっぷり。
ジェイソン然りチャッキー然り、スラッシャー映画において殺人鬼がアイコニックになればなるほどそのキャラクターが持っている怖さって薄れていくものですが、ミーガンは1作目にしてホラーアイコンの可愛さを確立してしまってるとも言えるわけで、このキャラクターメイクが出来た時点でもうホラーというジャンルとしては大勝利なわけですよ。
一番好きなのは隣家の迷惑おばさんに「犬をどこにやった?」って聞かれて死体を処分した場所の座標を答えたシーンなんですけど、これ地味だけどロボットらしいウィットと話の通じない危険さを兼ね備えたすごい良い描写だと思うんですよね。ここはニッコリしちゃいました。そのあとでおばさんを殺した凶器が高圧洗浄機っていういたずらっ子っぽさも含めて。
(※リアルでは高圧洗浄機を人に向けて発射するのは絶対にやめましょう)
ジェマと同僚たちがミーガンを組み立てていくところはアイアンマン1作目のスーツ製作シーンっぽいワクワク感ありましたし、顔のシリコンが破れて中の骨格がむき出しになったまま襲いかかってくる終盤のシーンはまんまターミネーター1作目のオマージュだし、決着のつけ方はリアルスティールっぽいし、ただの人形ではなくメカだっていう点を生かした見せ方の多さも個人的には魅力の大きな一つ。
一方でミーガンがアンドロイドだっていう視点に立つと、ケイディとの関係が依存という形で切り捨てられちゃったのが可哀想で。だってミーガンは「ケイディを守る」というプログラムを忠実に実行してただけなんだもの。スラッシャー映画として見ると殺人の件数が極端に少ないですけど、それもケイディと無関係の人間は殺害対象に含まれてないからで、そこが他のホラーアイコンとの大きな違いですよね。
もしこれがチャッキーだったらエレベーターが開いた時に目の前にいた人達全員殺してます。
続編も決まってるし、最後のアレを考えるとスカイネット化しててもおかしくなさそうなので、スラッシャー映画らしい愉快な大殺戮は今後のお楽しみにとっておいてもいいかも。
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