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観た映画の感想 #73『ドミノ』

『ドミノ』を観ました。

監督:ロバート・ロドリゲス
脚本:ロバート・ロドリゲス、マックス・ボレンスタイン
出演:ベン・アフレック、アリシー・ブラガ、ウィリアム・フィクナー、J・D・バルド、ダイオ・オケニイ、ジャッキー・アール・ヘイリー、ジェフ・フェイヒー、ハラ・フィンリー、他

公園で一瞬目を離した隙に娘が行方不明になってしまった刑事ロークは、そのことで強迫観念にかられ、カウンセリングを受けるようになるが、正気を保つために現場の職務に復帰する。そんなある時、銀行強盗を予告するタレコミがあり、現場に向かったロークは、そこに現れた男が娘の行方の鍵を握っていると確信する。しかし男はいとも簡単に周囲の人びとを操ることができ、ロークは男を捕まえることができない。打つ手がないロークは、占いや催眠術を熟知し、世界の秘密を知る占い師のダイアナに協力を求める。ダイアナによれば、ロークの追う男は相手の相手の脳をハッキングしていると言う。彼女の話す“絶対に捕まらない男”の秘密に混乱するロークだったが……。
(映画.comより)

https://eiga.com/movie/99471/

予告を見た時から楽しみにしてた映画で、でも同時に「期待してたほどには面白くなかったな……」ってなりそうだなって思ってた映画でもあって、それでも予想外のお土産もいくつかあって結果的には満足度の高い一本でした。

これは映画自体というか配給側の宣伝スタイルの問題だと思うんですけど、いわゆるどんでん返しを売りにしている作品って実際に観てみるとそこまで面白くなかったな……って思うことが多い。なぜかというとどんでん返しって要するにサプライズなので、「ある」って言われた時点でもう「ない」も同然の仕掛けになってしまうんですよね。だけど宣伝では必ずと言っていいほどそこが強く打ち出される。「あなたは必ず騙される」とか「この真相には絶対に気づけない」みたいなキャッチコピーつきがち。そんなのはもう「この映画は見かけ通りの映画じゃありませんよーどこかでお前を騙しにくるポイントがあるぞー」っていう匂わせに他ならないわけで、それがいつ来るかに注目しながら観るサスペンスって楽しみがすでに半分くらいスポイルされちゃってると思うわけです。

で、この映画もそういうどんでん返し要素を大々的に打ち出していたので、良くて予想の7割くらいのこじんまりした作品になるんじゃないかなーと思ってたんですけど、観てみると良い意味で思ってたんと違う映画だったので予想外に拾い物が多かったというか。
予告観た段階で想像してたのは『インセプション』みたいな絵面の『CURE』か『虐殺器官』みたいな話で、実際そういうテイで途中までは進んでいくんですけど、そこから「あっ、そういう話だったの!?」っていうシフトチェンジが2回くらいある。てことは予告の作り方が上手かったってことなので、「必ず騙される」って謳ってる映画に本当に騙されたのはなんか悔しいな……

監督も脚本もやらずにいち主演俳優に徹してるベン・アフレックもなんだか久々で逆に新鮮だったし、ウィリアム・フィクナーの神出鬼没な不気味さもターミネーターのT-1000みたいで良かった。好きな俳優なのでこういうインパクトの強い役をやってるところを見れるっていうもの嬉しいですし。

あとこの映画の良いところはこの手のサスペンスにしてはかなりコンパクトで90分ちょっとしかないところ。ひとつの謎を追いかけていくとまた別の謎が……みたいな話運びなのに全体的なテンポが凄まじくよくて、間延びしてるシーンが全然ないんですよね。クリストファー・ノーランだったら140分は使ってると思う。(※僕はノーランも好きです。念の為)
中盤にロークとダイアナが隠れ家みたいな場所に逃げ込んだくだりで、デルレーンの電話で操られそうになったロークが机の上の缶を倒してしまう→その缶の中にはハサミが入っていて→ダイアナに声をかけて視線を戻すとハサミが消えていて→ダイアナがいるバスルームのドアをノックしようと右手を上げるとハサミが握られていて……っていう怖いシーンがありましたけど、ここのテンポ感とかも変にもったいぶらないで次々に見せていって、それがロークの動揺ともシンクロしててすごく上手い一幕でしたね。

この手の映画、例えばジャンルは違えど『グランド・イリュージョン』とかもそうだったけど、催眠術がなんでも出来る能力すぎて催眠術ってそうじゃないだろっていうかもう最終的に異能バトルみたいになってるのは多分ツッコミどころだと思うんですけど(さすがに睨むだけで他人を即自害させられるのは過剰じゃん……)そういうところも含めて愛すべき一作だったなあ。

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