観た映画の感想 #93『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』
『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』を観ました。
観る前は期待4、不安……というか「これ観ても大丈夫なのかなあ……」という漠然としたソワソワ感が6くらい。
まず555、というか乾巧のその後っていろんな作品の客演で結構描かれてて、なかでも『仮面ライダー4号』が555の後日談としてもすごく綺麗なお話で好きなんですね。なのであれ以上のものって出てくるのかなーというのが一つ。
とは言え、これはあくまで当時の現行シリーズ(仮面ライダードライブ)の映画なわけで、いくら出来がよくてもこれを「555の後日談」と言い切ってしまうのはちょっと据わりが悪い。なんか居候なのにめちゃくちゃ豪華なスイートルーム使わせてもらってるみたいな……
その一方、555の出演者、とりわけ半田さんと村上さんに対しては555に関して自分が納得してないものを「良い」とは絶対に言わないだろうという信頼がある。この2人が良いと言っているんだから今回の映画はそう悪いものではないのかなーという期待もあり、みたいな。
で、実際観ての感想なんですけど。
物語として綺麗に終わってるのはやっぱり『仮面ライダー4号』のほうだと思う。だけど「どっちがより555だったか」ってところだと圧倒的にこっち。パンフレットのインタビューで村上さんも言ってたけど、やっぱり「井上敏樹にしか出せない仮面ライダー555の味」っていうのが確実にあるんですよね。観てる間ずっと「濃い……! 敏樹の出汁が……濃い……!」って思ってましたから。
と同時に、よくも悪くも「役者も20年分歳を取った」味というのがものすごく出てる映画になったなーとも思っていて。
真理のオルフェノク化とそのあとの巧とのひとくされがまさにそうなんですけど、もしあれ今の冬映画みたいなタイミングでTV本編放送中にやってたら絶対に激怒してると思うんですよね。役者も視聴者もみんないい歳になったから「大人が傷ついたら体で慰め合うしかない時もまあ……あるよな……」っていうことにも一定の説得力と納得があるわけで。
ただ真理のオルフェノク化それ自体は、真理が人間だったからこそオルフェノクである巧との異種族バディ感が良かったのになあ……という気持ちがあって少し残念、というか「それやっていいんだ!?」って面食らった感が。でもワイルドキャットオルフェノクのデザインは凄く良かったんで、そこが加点要素なのと、あと最後にしれっと条太郎くんに「あんたもオルフェノクになれば戦力になって良いのに」みたいなこと言うじゃないですか。最序盤の真理って割とあっけらかんとヒドいことを言う奴だったんで、あーそういやこいつこういうところもある女だったな……って(笑)
TV本編では中盤以降ほとんどやらなくなったオルフェノクの殺人描写(心臓に剣とか触手を刺して消すところをレントゲン風の映像で見せるやつ)から始まるオープニングといい、オリジナル版のオマージュとファンサービスがたっぷり詰まってて本当に楽しい作品ではあったんですけど、それだけに「これが本当に完全な20周年でも良いのかな……?」って思いもよぎる。なんでかっていうとそれは勿論、このアニバーサリーに泉政行さんがいないからに他ならないわけで。今回北崎がやっていたスマートブレイン社長の立ち位置も、泉さんがご存命だったら絶対に木場になってただろうし、新ライダーもネクストオーガになってたかもしれないし。原田篤さんが今も俳優業メインだったらデルタに変身するのも三原のままだっただろうし。全体的にいい出来だったからこそ、いない人の不在感も強く感じてしまって。
あと、井上大先生と村上さんは草加雅人を面白くしすぎだと思う(笑)
「本人はすでに死んでるからロボにして復活させます!」はまだいいのよ。草加スマイルが20年前より明らかに邪悪になってるのもいいのよ。でも手のひらからでかい銃口がニュッと出てきたり、草加スマイルとともにデコからスマートブレインのロゴが浮かび上がるのはもうギャグなのよ。あの一瞬だけ空気感がドンブラザーズなのよ。
新ライダーの造形は、実際に映像で見たら第一印象よりはカッコよかった。でもせっかくなら見せ場があと一つか二つは欲しかったし(特にネクストカイザ)、ラストバトルで巧が変身するのが旧ファイズなんで、どうしても元のデザインの良さが引き立っちゃって若干可哀想だったかなーと。
なんかとりとめのない感想になっちゃいましたけど、「ファイズを観た」という満足感はすごくありました。僕はそこまで嫌いじゃないけど『復活のコアメダル』に足りなかったのは多分こういうことだったんだなあ。
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