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観た映画の感想 #69『イコライザー THE FINAL』

『イコライザー THE FINAL』を観ました。

監督:アントワーン・フークア
脚本:リチャード・ウェンク
出演:デンゼル・ワシントン、ダコタ・ファニング、デヴィッド・デンマン、ガイア・スコデッラーロ、レモ・ジローネ、アンドレア・スカルドゥイツィオ、アンドレア・ドデロ、他

シチリアでの事件で負傷し心身ともに限界を迎えたマッコールは、アマルフィ海岸沿いの静かな田舎町にたどり着く。身内のように温かく接してくれる人々の存在に救われた彼は、この町を安住の地にすることを心に誓い、イコライザーのスイッチともいうべき腕時計を外すことを決意する。しかしその町にも魔の手が迫り、マッコールは大切な人々を守るため再びイコライザーの仕事を開始。やがて事態はイタリア全土を巻き込む爆破テロ事件へと拡大していく。
(映画.comより)

https://eiga.com/movie/100006/

ハリウッド映画の「人間」部門では間違いなく最強のマッコールさんシリーズ第3弾。

いわゆる「舐めてた相手が殺人マシンでした映画」って色々ありますけど、その中でもマッコールさんって強さが頭一つか二つは飛びぬけてると思うんですよね。

例えば奇しくも同時期の公開になったジョン・ウィックもめちゃくちゃ強いけど、彼はやられる時は結構ボコボコにやられるし普通に疲労もするし、でもどんなにクタクタになっても絶対に折れないタフさが強さの本質だったりする。
『96時間』シリーズを始めとする一連のアクション映画でのリーアム・ニーソンも強いけど、リーアム・ニーソンのこの手のキャラって強さとは別の危うさが常にある。96時間では度を越した親バカだったり、『メモリー』ではアルツハイマーという非常に重いデバフがかかっていたわけで。
今のハリウッドで他に分かりやすい”最強”キャラ俳優となるとジェイソン・ステイサムとドウェイン・ジョンソンのほぼ2強だと思うんですけど、でもステイサムとロック様もピンチになる時はなるんですよね。ワイスピでも二人仲良く椅子に縛り付けられて電気ショックで拷問されてたし。

ただしあまり効いてなさそうではある

でもマッコールさんってそういうの一切ないんですよね。疲れないし、ピンチにもならないし、(強迫神経症のきらいはあるけど)特に弱点もない。1作目こそちょっと銃弾がかすって負傷するみたいなのが少しありましたけど、2作目からはそもそもダメージを受けることすらなくなっちゃったし……存在がターミネーター寄りになってきてるんですよね。

いやいや、そうは言っても今回は冒頭で撃たれて死にかけてたじゃないかってツッコミたくなる気持ちも分かります。でもよく思い返して欲しい。撃たれた傷は映画の前半過ぎた頃にはもうすっかり治ってるんですよ。で、街のローカルヤクザ達を一方的に殺害と本格的に戦うのは怪我が治ってからなので、要するにデバフとして一切機能してないんですよね、この負傷。話の流れとしては死にかけたマッコールさんがあの街に担ぎこまれることが重要なので、撃たれたのも街の人たちと仲良くなるためのお膳立てでしかないというか……

殺しのテクニックも更に磨きがかかってて、手際も残虐性も最高に極まってるし、今回のマッコールさんは(シリーズで初めてレーティングがR-15なのも相まって)シリーズで一番怖い。予告にも使われてる、監視カメラの映像を確認してるマフィアの背後にカメラが左から右に回り込む一瞬で現れるシーンはジェイソンとかブギーマンとかの現れ方だし、あとはラスボス(というにはあまりにもやられっぷりがあまりにもあっけなさ過ぎたけど、それはマッコールさんが強すぎるからなので仕方ないことなのだ)の殺し方ですよね。オーバードーズな量のヤクを投与して少しずつ死んでいく様子を歌を口ずさみながら眺めるって完全に殺し方にこだわりがあるタイプの猟奇殺人犯のやり方だよ……

でも毎度のことながら敵の胸糞悪さもかなりのものなので、観てて溜飲も下がるしなんなら笑えてくるんですよね。敵が調子に乗れば乗るだけマッコールさんがきっちりと返してくれるのが分かりきってるんで。

あと今回は街の人たちがちゃんと味方になってくれたのが良かった。

例えば『龍が如く』とかやってても思うんですけど、桐生さんってどれだけ神室町の人たちを助けても特に顧みられることもなく最後はいつも一人になっちゃうじゃないですか。元とは言えヤクザに借りを作っちゃいけないとか任侠ものでヤクザは幸せになっちゃいけないとか理由はあるにせよ、それはちょっと可哀想じゃない? ってずっと思っていて。

同じことがマッコールさんにも言えて、本人は(悪人を見ると絶対に滅ぼすスイッチが入っちゃうだけで)物凄い人格者だし、あんなに困ってる人を助けてて職場の同僚にも慕われてて、なのに続編のたびに職場も家も変えて人間関係リセットされちゃうのが可哀想だなって思ってたし、特に今回は唯一の理解者だったスーザンが2作目で殺されちゃった後の話だから彼は孤立無援の状態だったわけで、だからこそ助けたぶんだけ恩義が帰ってきたのがあたたかくてねえ。そりゃマッコールさんだって街のこと好きになっちゃうよ。

その「街」なんですけど、僕はある意味この映画のもう一つの顔だと思ってるんですね。というのは全てのカットが絵になってるから。
イタリアのアトラーニという街がロケ地らしいんですけど(パンフレット情報)、こんなにもどう撮っても絵になる街現実に存在するんだ……って感動しちゃって。街の海に面してない以外の三方がほとんど崖と言ってもいいくらい切り立った山で囲まれてるから日中でも割と影が差した暗めのシーンが多いんですけど、特にその街全体に影が差しこんでるのを遠景から撮ったショットがものすごく美しくて……

https://www.youtube.com/watch?v=ioRcZruqewU より引用

ここらへんは撮影監督のロバート・リチャードソンさんの手腕によるところが大きいと思うんですが、とにかくロケーションの美しさに関してはシリーズ中最高。

ところで最初に「イコライザー THE FINALを観た」と書きましたけど、原題は『THE EQUALIZER 3』なので、THE FINALだの最終章だのっていうのは日本の公式が勝手に言ってるだけなんですね。むしろここで基本的なフォーマットが固まったとも言えると思うんで、マッコールさんが行く先々でご当地のチンピラ共を壊滅させて街の人たちと仲良くなるシリーズとしてこれから何作も作れるはずなんですよ。『イコライザー:TOKYO DRIFTER』とか観たいじゃないですか!マッコールさんも日本のヤクザとはまだ戦ってないし。

最低あと3本は作って欲しい。お願いします!

エンドロールまでダコタ・ファニングだって気づいてなかった。
こんなに大人になったんだねえ……

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