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観た映画の感想 #109『胸騒ぎ』

『胸騒ぎ』を観ました。

監督:クリスチャン・タフドルップ
脚本:クリスチャン・タフドルップ、マッズ・タフドルップ
出演:モルテン・ブリアン、スィセル・スィーム・コク、フェジャ・ファン・フェット、カリーナ・スムルダース、リーヴァ・フォシュペリ、マリウス・ダムスレフ、イシェーム・ヤクビ、イェスパー・デュポン、リーア・バーストルップ・ラネ、エイドリアン・ブランシャール、サリナ・マリア・ラウサ、イラリア・ディ・ライモ、他

休暇でイタリアへ旅行に出かけたデンマーク人の夫妻ビャアンとルイーセ、娘のアウネスは、そこで出会ったオランダ人の夫妻パトリックとカリン、息子のアベールと意気投合する。数週間後、パトリック夫妻から招待状を受け取ったビャアンは、妻子を連れて人里離れた彼らの家を訪問する。再会を喜び合ったのもつかの間、会話を交わすうちに些細な誤解や違和感が生じはじめ、徐々に溝が深まっていく。彼らの“おもてなし”に居心地の悪さと恐怖を感じながらも、週末が終わるまでの辛抱だと耐え続けるビャアンたちだったが……。
(映画.comより)

https://eiga.com/movie/101163/

今のところ、今年のベスト(ワースト?)胸糞映画部門ダントツです。

「話の通じない人間が一番怖い」というリアルな怖さを、抑制の効いた映像でじっくりじっとり見せる北欧ホラーらしい一作でした。

パトリック夫妻、オランダにビャアン達を招いてからはずっとおかしいんですけど、それに対してビャアンが空気を読んじゃって何も言えないのが妙な生々しさあってまず嫌なんですよね。自分は客の立場だから、ホストの気分を害しちゃうのは失礼って思っちゃうのはすごくよく分かる。分かるだけに……嫌!

一方でビャアンの妻・ルイーセは「あいつらおかしいよ!」って割と早々にはっきり言うんですけど、ルイーセの言葉を潰していくパトリックとカリンのやり方もまー上手いし嫌らしいしで最悪で。パトリック達が寝ているベッドに娘のアウネスを一緒に寝かせていたことを「なんでそんなことするんだ」って責めるルイーセに対してカリンが「でもあの子は昨日あなたたちの部屋に入りたいって泣いてたのに入れてあげなかったじゃない、あなたたちは何をしてたの?」って返すくだりがあって、そこでルイーセは何も言えなくなっちゃうんですけど、カリンに指摘されたその時はビャアンとルイーセは実際アウネスを無視して2人でなかばヤケクソ気味に夜の営みをしていた(しかもそれをパトリックには覗かれている)わけで、ここを突けば逆らえなくなるっていうポイントを刺してくるのが上手いんだなー! あー嫌!!

一度は脱出に成功したのに、アウネスが忘れたぬいぐるみを取りに戻っちゃうのもビャアンの人の良さが完全に裏目に出ちゃったシーンで、それも最後に伏線としてきっちり回収されるんですよね。「どうしてこんなことをするんだ」って聞くビャアンに対してパトリックが返した「君が差し出した」って台詞で。あれ要するに「一度出て行ったのに戻ってきたってことは、そういうことだと解釈してもいいんですよねェ?」ってことなんですよね。あの台詞にパトリック達のサイコパスっぷりが凝縮されてて、僕はあのシーンが一番ぞわっとしました。

パトリック達の「所業」の証として出てくる大量の家族写真とか、落ち着いて考えるとさすがに「いくらなんでもこんなにやってたら関係者の誰かは気づくだろ…!」って思わなくもなかったんですけど、そういうツッコミどころもカバーして粗に見せない演出の巧さとか、ほんとに嫌な映画なんですけどよく出来てるなー! という一作でした。ブラムハウス製作でリメイクも決まっているみたいですけど、この嫌らしさはリメイクできるかなー……

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