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品川駅の「今日の仕事は楽しみですか」の騒動を見て思うこと

一つの広告が物議を醸しています。

JRの品川駅を降りて新幹線口に向かうと、ディスプレイがいくつも並べられている通路があるのですが、そこに「今日の仕事は、楽しみですか」という広告が表示されたというニュースです。

この広告に対して見出しの通り「心を折りにくる」「出勤時に見ると傷つく」と批判が相次いでいます。


人によっては批判される理由がわからないという人もいると正直思います。
僕なりに色々考えて、どこに問題があるのか色々考えてみました。


1.コピーが悪意のあるものになっている
広告のコピーを考える際、いわゆるフックとなる文言を冒頭に述べるのはよくある手法です。ネットが普及している今、いかに消費者が気にかけてくれるか、記憶に残してくれるかを追求するのは当たり前といえば当たり前です。

その人の課題に寄り添って、解決方法として自社のサービスを紹介するというのが一連の流れになるのですが、「今日の仕事は楽しみですか。」に関しては煽っている印象が強すぎます。

そして今回の場合、「今日の仕事は楽しみですか。」に対して続く文章がこちら。

今日の仕事が楽しみだと思える仕事が増えたら
この社会はもっと豊かになるはず

だから〇〇が新規事業の生まれる組織づくりをサポートします。

ビジネスに衝動を。

ビジネスに鼓動を。

冒頭でみている人の課題提起をした後 (解決部分にあたる箇所)ですが、抽象的な表現が多すぎます。

「今日も出勤嫌だな...」と思っている人が、新規事業を生むためにこの企業に問い合わせをするでしょうか?

ましてや出勤が嫌だと思っている人の大半は、周りの人間関係に苦しんでいたり、自分の意見が重要とされない環境に苦しんでいるかと思います。もちろん、生活のためにそもそもしたくない仕事を必死にしている人もいます。

これらの人がこの広告を見た場合、ただただ嫌な思いをして終わることになります。

ましてや新規事業を自由に提案できるくらいの会社であれば、僕個人の見解ですが、それは楽しい会社・仕事に属するのではないでしょうか。

以上のことから、単に通勤者の気を引くことを重視している悪意のあるコピーだと私は思います。


2.出勤時のディスプレイであるという点

ネット広告の場合、自分が気に入らない広告の場合、非表示設定をすることが可能です。またある程度ターゲティングがされているので、自分が求めているものとかけ離れていることは多くはありません (もちろん0ではないですが。。)

今回の場合、品川駅を通勤に利用している人は避けようがなく、広告に触れてしまいます。品川に行くとわかりますが通路いっぱいのディスプレイが同時に流れているため、通勤時の介入力は半端ないです。

見たくなくても見てしまった人から批判が来るのは当然だと思います。


3.仕事はたいてい楽しくないやろ
今回のコピーは「今日の仕事は楽しみですか。」となっていますが、答えはわかりきった上でこの問いかけをしている気がします。皮肉が込められている気がせずにはいられません。

自信を持って仕事が楽しい! って言える人ってどれくらいいるんでしょう?

よく海外を引き合いに出して「仕事は楽しいもの」と植え付けられることがありますが、今日の日本の社会で週休2日・1日最低7時間労働がある限り厳しいと思います。

第一、仕事って常に楽しくないといけないんでしょうか?
誰でも浮き沈みがあるし、辛い時期があるからこそ楽しい仕事をしているときに生き生きできるんだと思います。

ちょうど沈んでいる時期にこの広告に当たったらと思うと、間違いなくこの広告に嫌悪感を覚えると思います。



最後に

今回の広告が炎上する理由はわかるのですが、改めて表現って難しいなって思わされました。誰でも満足できる広告を作るのって不可能に近いと思うんです。かといって凡庸なコピーだと無視されて終わるのが目に見えていますし。色々と考えさせられます。


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