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第六回・情報の影響力・前半 #幸せを生む影響力

このシリーズは「レーダーチャート式SNSアウトプット診断」の次世代バージョンを開発している最中の2人の想うことを、stand.fmからの書き起こしで連載していきます。

第六回目は、まだPCが個人ではなく、主に会社で使用していた時代を振り返ります。今では1人で複数もつことも珍しくありませんが、この頃はまだまだ個人には遠い存在でした。

全7回予定のシリーズ、どうぞよろしくお願いします。

はがくん@独学を応援する
薬剤師薬剤師/薬局長/管理薬剤師
言わずと知れた独学だいすき薬剤師。仙台出身。90年生まれ。年間1000本ほどの論文を読破。みんなを元気にするものを作ってます。
池松潤(いけまつじゅん)
恋愛小説家/ 情報発信学・講演家/ アウトプットLAB主催 / サイボウズ式第2編集部。慶応義塾大学卒業後、大手広告会社員時代に雑誌コラム連載・ビジネス書を執筆。※登壇・イベント情報は⇒コチラ 


【幸せを生む影響力】シリーズ(予定)
1:影響力とは
2:肉体の影響力
3:集落の影響力(前半)
3:集落の影響力(後半)
4:武力の影響力
5:お金の影響力
6:情報の影響力 (評価経済的な影響力)(前半)←今回
6:情報の影響力 (評価経済的な影響力)(後半)
7:影響力を俯瞰してみる

#幸せを生む影響力

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目に見えない情報を目に見える形で辿る

はがくん
はじまりました。「幸せを生む影響力」ということで、はがくんです。今日もゲストをお呼びしてます。どうぞ。

いけまつ
恋愛小説家の池松潤です。

はがくん
いつもありがとうございます。今日はいよいよ「情報の影響力」で、一番話したかったところなんですよね。

いけまつ
そうですね。

はがくん
一番話したかったからこそボリュームが多くなりそうなので、前半と後半にわけて話をしていこうと思います。まず情報といってもいろいろあるので、電報、電話、パソコンとかがでてくる時代を前半。そしてインターネットが登場して、SNS、mixi、Twitterとかがでてくる時代を後半でお送りしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

いけまつ
はい、よろしくお願いします。

はがくん
ボリューミーな話になるので、内容を目に見える事象と裏で起こった本質的なこと、それぞれ順番に話をしていくことでわかりやすく話を提供していきたいと思います。ちょっと前置きが長くなりましたね。

いけまつ
いやいや、ここちゃんと説明しておかないとね。

はがくん
そうですね、わからなくなっちゃうんで。まずは「情報の影響力」ということで、工業化時代でいろいろ物を作れるようになりました。もうちょっと進んでくると情報が大きな力を持ってきますよって話だと思うんですけれども、それって具体的にどういうことだと思いますか?

いけまつ
日経新聞を読んでるとかビジネスをやってる人たちは聞いたことがあると思うんですけど、アルビン・トフラーの「第三の波」っていう本が昔あったんですよね。

はがくん
はい。この本よく出てきますね。

いけまつ
よく出てきますね~。要は産業革命で工業化されて、その次にお金よりも情報の力が出てきたぞみたいな話です。それってなんのツールで情報が伝わって力になったのかを、目に見える形でたどっていくといいと思うんですよね。

はがくん
そうですよね。情報は形のないものだからこそ、目に見えるツールの形で話を進めていくとわかりやすいですよね。

いけまつ
最初は電報だったんですよ。それが電話になった。その先のインターネットへいく前にパーソナルコンピューターなるものが出てきて、それがあったからその後はあるんですよね。

はがくん
パーソナルコンピューターっていうと‥‥僕は90年生まれの30歳なんですけど。ワープロとパソコンの区別がついてない方も多いと思うので、その辺の説明をお願いしたいんですけれども。

会社のためのコンピューター

いけまつ
まず、僕が社会人になった頃ですね、個人のデジタル化が起こった一番最初の波がきたのは。日本のパーソナルコンピューターはNECのPC-98、世界的にいうと一番の代表格はやっぱりAppleなんですよね。Macintosh SE/30ってやつがでてきて。ここが、個人がデジタル機器の可能性を最初に感じたころなんですよ。

はがくん
まだ名前もiPhoneとかこなれた感じじゃなくて、機械っぽいプロダクトっぽい名前がついてますね。

いけまつ
そうですね。ここで一番重要なのは、たしかにワープロもあるんですけど、そもそもでっかいホストコンピューターの時代があったんですよね。

はがくん
ちょっとイメージつきづらいですね(笑)

いけまつ
IBM360っていう超高額などでかいやつがあったんです。これ簡単に言うと、アポロが月にいったときに使ったコンピューターですね。

はがくん
いやあすごいですよね、月に行ったときか。やっぱり弾道計算みたいなのをしてたんですかね。

いけまつ
細かいことは僕もあんまり知らないんですけど、あらゆる計算をしたんでしょうね。そのIBM360を日本IBMが日本の会社に売って。いくつか大きな会社があるんですけど、今皆さんでも使ってるところに近いのは、日経テレコンっていう日経のデータベースですね。朝日新聞さんも使いました。

はがくん
へ~、朝日新聞さんはどんなふうに使ってたんですかね。

いけまつ
当時の新聞は写真植字で写植職人さんが作ってたんですよね。一文字一文字作ってたんですけど、その作った文字を拾って版下と呼ばれる原稿を作ってたんです。その人件費を削減するためにコンピューターでワープロのすごいやつをIBM360にやらせようと。

はがくん
うんうんうん。まさにデジタル化ですよね。インターネット関係なしにデジタル化することで利益を得るという。

いけまつ
そうそう。日経新聞さんはそこだけにとどまらず、株価とか企業の決算情報とか数字の情報いっぱいあるので、それをデータベースに入れて誰でも引き出せるようにしようっていう。その最初は日経テレコンですね。

はがくん
それすごいですよね。特に株価なんて早く情報を仕入れれば仕入れるほど利益が出るわけですから、まさに利用価値として高いものだったわけですよね。

いけまつ
ただ、なにが言いたいかというと、パーソナルコンピューターが出てくる前は会社のためのコンピューターだったんです。

はがくん
そうですね。そんなでっかいもの家に置けないよ、みたいな。

いけまつ
もう、会社に置いてある、会社人のための、会社人が使うことによって活きる、会社のためのコンピューターだったんです。

はがくん
ビジネスありきで、個人で動画を楽しむとかできた時代ではないですよね。

いけまつ
そうですね。それがMacとか出てきたことによって、個人の想像力をもっと拡張するというね。そのためツールとして最初はワープロみたいなことにしか使えなかったんですけど、なんに使っていいかわからなかったから。

はがくん
そうですよね。

いけまつ
でもお絵かきソフトが出てきたりドローツールが出てきたり、紙の時代って版下で作ってたんですけど、ひょっとしたら版下よりもこっちのがいいんじゃないか?みたいなね。もう若い人にとってはなんの話だかわからないと思いますけど(笑)デジタル化する、パーソナルなとこに手が届くぞっていうすごく大きな波だったんです。

だれがデジタル化を進めたのか?

はがくん
デジタル化はデジタルがない人にとってすごく大変だと思うんですけど、デジタル化を推し進めようとする要因ってなんだったんでしょうね。

いけまつ
これ大きくわけると、デジタル化を進めることによって金儲けがしたかった人たち、具体的に言うとパソコン屋さんとかワープロ屋さん。

はがくん
製品を売ってる人たち。

いけまつ
売ってる人たち。物ありきの話なので。それから、それを使いこなすことによって企業内の競争を有利に進めようとする人たち。こっちは目に見えないですね。

はがくん
そうですね、目に見えない。

いけまつ
今と一緒でスキルの話なので。ただ単純にワープロやパソコンが速く打てますとか使いこなせますって話じゃなくて、それをどう使うかまで本質をとらえた人たちは少なかったんですよね。

はがくん
そうですよね。パソコンが来る前の時代の人たちは、工業化時代でいろんなものを作ってた人たちで。当時はその人たちがほぼ全てなわけですから、PCを売る人たちの考え方はなんとなく理解できますけど、それをスキルにしようとかビジネスにしようとか、新しい方向に変えていく人たちの労力はものすごいものを感じますね。

いけまつ
この頃はまだネットもクラウドもなくて、フロッピーディスクがCD-ROMになったんですね。マルチメディアってはじめて言われた頃なんですけど。富士通のFM TOWNSっていう、CD-ROMでデータを保存できるパーソナルコンピューターが、マルチメディアと言われることになるんです。具体的に言うと大辞典をCD-ROMの中に全部ぶち込むとか。

はがくん
物理的にコンパクトになるメリットがそこでは生まれてるわけですよね。

いけまつ
そうですね。あとはCD-ROMの中で検索するスピードが速いとか、紙でめくるよりもね(笑)

はがくん
バシッと引っ張ってくることができると。

いけまつ
できると。そういう流れだったんです。でも本当のこと言うと、当時デジタル化ってなにかわかってる人は割と少なかったです。

はがくん
いやそうですよ。今でもデジタルトランスフォーメーションとは言いますけど、具体的に何をやるんですかって話はまだ曖昧なところがありますもんね。

いけまつ
それって利用用途によるメリット・デメリットというか効能がはっきりしないからですね。いろんなことに広く影響するんで、そこが一番モヤモヤふわふわしてる。ただ、もうちょっとエピソード的に面白いお話をすると、デジタル化が進めが進むほどアナログ化も膨大だった事例をいくつかお話します。

はがくん
これは面白そうな話ですね~。

デジタル化による紙の大量消費

いけまつ
当然ながら、見積もりとか請求書とか契約書とかをワープロ機能で打って、今でいうMicrosoftのWordですね、それをフロッピーで相手に渡したり保存したりしとけばいいじゃないですか。だけどデータが飛んじゃったり見られなくなったりすることもいっぱいあったんですよ。

はがくん
フロッピーって磁石をあてるだけでデータ飛んじゃうことありますからね。

いけまつ
そうなんですよ。その可能性が1%でも2%でもあると、みんな心配になって紙にプリントアウトしてファイリングするんです。膨大な量の紙なんですよ。

はがくん
せっかく大辞典をCD-ROM化できるようになったのに辞書並みの紙の量を使うっていう。

いけまつ
そう。それでオフィスのラックにそのプリントアウトしたものが入ってたんですよね。

はがくん
もうすごいですよね、情報の氾濫(笑)

いけまつ
今でもお役所とかいったらこれが繰り返されてるわけですけど、多分銀行もそうですよね。だけど当時のデジタル化の大きな要素ってもう1個ありまして、例えば私が請求書とか請求見積書を作りましたと。それをプリントアウトして、恭しく社判を押して、封筒に入れて、恭しく持っていくことが丁寧だと言われてたんですよね。だけどお客さんも早く欲しいから、とりあえず持ってくる前にFAXで送ってよと。

はがくん
情報の早さの重要性はわかってるわけですからね。

いけまつ
が!しかしですね、このFAXが最初は感熱紙だったんで、セットしてビューッとジジジジジって送ると、くるりんって丸まっちゃうような感熱紙だったんです。

はがくん
ペラペラの紙ですね。

いけまつ
そうなんですよ。感熱紙なんでタバコや熱い物によせると変色しちゃうし、あと太陽をずっと浴びてるとまっ黄色になっちゃう。

はがくん
熱を感知する紙ですからね(笑)

いけまつ
デジタル化が進めば進むほど、アナログ保存とかアナログで恭しく渡す儀式も必要だったんです。デジタル化の進む度合いに合わせて、アナログの動き方も膨大だったんですよ。W手間みたいな。

はがくん
過渡期だからとは思いますけど、二度手間しないといけなかったってことですよね。

デジタル化を推進するアナログ

いけまつ
そう。で、手間の話をしたんですけど、手間以外で使うためになにがいいのかをみんな知りたいわけですよ。もう1つの動きとしては、デジタル化が進めば進むほど、アナログのイベント、ビジネスショーが大きくたくさん開催されるようになりました。

はがくん
それはそうですよね。個人的なところにネットが来てるわけでもないから、そうするしかないですよね。

いけまつ
まぁこれは、会社の中の競争で出世をするためには、デジタル化の波に取り残されてはいけないって皆わかったんですよ。

はがくん
そういった競争心理も働いて。

いけまつ
ビジネスショーに行って「どうやって使えばいいですか」って機械を目の前に対面でメーカーの人に聞きながら「あぁ、なるほどなるほど」って。その後秋葉原行って買うみたいな。

はがくん
なんだか盗作してるように思いますけど、夢があって面白そうだっていうふうにも捉えることができますね。

いけまつ
まだアマゾンないからクリックしても届かないですから、家に。

はがくん
秋葉原行かないとダメなんですね(笑)

いけまつ
やっぱりすぐ欲しいじゃないですか。

はがくん
たしかにたしかに。ビジネスショーから移動して、電車にのって、ドンぶらこして、重ーいPCを買って帰ると。

いけまつ
そういうことなんですよ。だからデジタル化が進めば進むほど、アナログのイベントが盛り上がりましたね。

はがくん
うんうんうん。個人の物じゃなかったからこそ、それだけ努力して企業のために頑張らなきゃいけなかった時代とも言えるわけですね。

いけまつ
そうですね。これ例えて説明すると、江戸時代で藩に所属してるお侍さんみたいなもので。企業に所属してないと影響力を行使できなかったんですよね。

はがくん
ネットが自分のところに来てないから発信できないですもんね。

いけまつ
そうなんですよ。IBM360の大型コンピューターがパーソナルコンピューターになって、個人にも手が届く範囲だといえどもですね。社会構造的にはまだ、大きな会社に所属してないと情報も入らないし、情報の行使もできないし、情報の伝達もできなかった。藩のお侍さんがごとく大企業のお侍さんでないと、影響力としてこのデジタル化を最大限発揮することはなかなかできなかったんですよね。

はがくん
つまり活かすことができなかった。

いけまつ
そう、活かすことができなかった。これがインターネットに接続する手前の時代の、大きな象徴的な出来事なんですよ。

会社から個人の武器へ

はがくん
パソコンの中でやることは出来るようになってきているけれど、その影響力を個人だけで外側に発揮することはできなかったってことですかね。

いけまつ
難しかったですね。御殿が建つような、億万長者なったような人はあんまりいないんですよね、日本には。あえて言うと「一太郎」を作ったジャストシステムさんぐらいでしょうね。

はがくん
それだけ活用するのが難しい力だったと言えますよね。

いけまつ
その力を個人の隅々末端まで、末端って失礼な言い方だな、パーソナルそれぞれまで行使できるような武器になるにはもうちょっと!その前夜って感じでした。

はがくん
その前夜が後半を話すにあたってめちゃくちゃ重要だと思うので、あえて「情報の影響力」で前半を作って話をしてみました。どうですか池松さん、だいぶ喋ってもらいましたけど。

いけまつ
あともう1つ前半で触れといた方がいいなと思うのは、この時はじめてパーソナルコンピューターという個人のツールが出てきて、半導体メーカーのインテルとかがすごく伸びた時期だと思うんです。その時「ムーアの法則」、半導体の集積率は18か月で2倍になるっていう有名な法則で、これが半導体やパソコンのハードの世界だけじゃなくて、個人の本質的な目に見えないところまで大きな影響を与えてたことが、この時代の大きな特徴ですね。

はがくん
そうですね。みんな手探りでどんなことに使うかどんなことに使えるか試しながら、デジタルとアナログの狭間で戦いながら夢を追いかけていたと。

いけまつ
そうですね。

はがくん
ていうことですかね。

いけまつ
これで後半、Windows95あたりに続くと。

はがくん
Windows95っていうと「え、なんの話する気なんや」って思う人もいるかもしませんけど、こっからが面白いとこですからね!ぜひ後半もよろしくお願いします!

いけまつ
はい、よろしくお願いします。

はがくん
ありがとうございました~。

文章:鈴木鮎

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編集後記
第6回目はいかがでしたでしょうか。
今回は「情報の影響力」(前半)についてお話しました。

これまでは歴史の授業で習うような遠い昔のお話でしたが、今回から急速に現代のお話になりました。ようやくコンピューターの登場です。しかし現在使われている物とは形も性能も全く異なります。それでも新しい力を信じて、まずは会社からデジタル化の波が押し寄せました。現在とは違う、アナログとデジタルが混ざりあう時代。混沌としているようで、人々はどこか希望を抱いてたのではないでしょうか。

次回は「情報の影響力」(後半)です。現代人を悩ませるSNSが登場します。Windows95からはじまり、どのような影響力をもたらすのでしょうか。


最後まで読んでいただきありがとうございます。次回もどうぞお楽しみに。
音声で「幸せを生む影響力」を楽しみたい方はこちらからどうぞ!

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#幸せを生む影響力 #池松潤 #はがくん #stand_fm #情報の影響力 #デジタル化

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