採用のジレンマ

今の会社にはベンチャーと言われるときに入社をしたので、2年目のときから現在に至るまで約8年間、新卒や中途との面接(面談含む)をおよそ300名以上は行なってきました。

そういった経験を経て現在思うのは、
「どういう人が高いパフォーマンスを発揮してくれるのか、未だにわからない」ということです。

人事の役割を本職として負ったことがないので、あくまで素人の意見になってしまいますが、人を(特にポテンシャル層といわれる新卒)採用することは想像以上に難しいものなのだと思っています。

その理由をいくつか列挙してみます。

目標設定と本質がズレがち

人事のKPIとして設定されるものでよく聞くのは、「採用人数」だと思います。具体的に言うと、「23卒を○○名採用する」という目標です。

仮にこの目標を達成することに主眼を置いた場合、
説明会参加数→一次面接数→二次面接数→…→最終面接数→内定許諾数
という流れが一般的で、ここに合格率や許諾率などの変数を過去実績をベースに算出すればおおよそ満たすべき各フェーズの人数が算出され、採用基準とのズレがないかで説明会の方法を変えたりするのが一番シンプルなアクションプランになるでしょう。

ここで改めて、本当はどういう人を採用したいのかに立ち返ると、
あくまで「会社で活躍する人材が欲しい」のであって、「数が欲しい」というものとは違うことに気づきます。

前提としてお伝えしたいのが、決して人事が悪いとは思っていません。
寧ろ四六時中採用に関与している人事の方が、ジレンマに悩むのではないでしょうか。

結果が返ってくるのが遅い

さて、1つ目の目標設定と本質がズレている部分について、
では目標設定自体が間違っているのではないかと考えるのですが、
そう簡単な話でもありません。

例えば、2022年4月入社した新卒群を評価するためには、少なくとも3年程度は時間を要します。
しかし、この3年の間にも毎年新卒を採用しており、3年前を振り返って仮に致命的な欠陥があったとして、3年分の採用者をどう扱うのでしょうか。

つまり、その年の採用が正解だったのかどうかをすぐに確かめる手段がない以上、人事から能動的に変えていくというのはハイリスクなだけで、十分なリターンを得られないように見えるので、それ以外の目標設定をするのは現実的ではないように思います。

そもそも1時間程度で相手を理解することができない

では、仮に○○名採用できなくても、極論採用者全員が会社で活躍すれば、人数が少なくても問題ないのではないか、
というと正直問題ないと思います。
しかし、これこそ一番現実的ではないと思っています。

もし、合格とジャッジした10名が10名とも活躍しているという面接のプロみたいな方がいらっしゃったら、是非教えていただきたいのですが、
私自身の感覚だと、10名中良くて3名、0名の場合も全然あります。

今は昔と違い、ESや面接の教科書や方法論が調べればいくらでも出てきていて、面接のテンプレ質問に関する回答をしてこない学生を見つけるほうが困難です。私自身の判断基準は寧ろテンプレ質問にテンプレ回答ができないということはルールを知らずにスポーツしていないようなものなので、アドバイスと共に不合格にしますが、それ以外は採用基準から逸脱していなければ、基本合格にしています。

それは良いのかどうかは未だに自問自答することがありますが、
これ以上は本人の好みになってしまいますし、いろいろな人の目に触れてジャッジした最初の印象と1年後の印象が変わることが多々ある(寧ろ変わることしかない)という事実を見れば、あまり深入りして主観的に判断するべきではないというのが私の結論になっています。

結局は採用の問題ではない

ここまでつらつらと採用について、お話してきましたが、
結局の所、採用に軸を置くのであれば大手のように大量に採用して、
優秀な人材がいる絶対数を上げるというのが現実的な落とし所のような気がいしています。

むしろ、新卒が活躍するかどうかは採用の問題ではなく、教育の問題なのではと最近は思っています。

一人あたりの採用に関わる時間は多く見積もっても10時間程度しかなく、
その後の育成に関わる時間はその何十倍も使っています。
普通に考えれば、例えば3年後にその人が優秀かどうかの変数は、採用よりも育成のウエイトが圧倒的だと考えるべきで、
ポテンシャル層を真っ白だと捉えるのであれば、色を加えているのは現場で、優秀な社員に育てられなかった現場の責任と捉えるべき課題なのだと思っています。

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