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創作エッセイ

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創作活動に関することや、制作を通じて感じたことをまとめています。 過去記事も時々加筆修正しています。
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#美術館

(制作の中で)美術は救いではなかった

【タイトル絵 「オリーブを喰む鳥(部分)」】 美術(創作活動)のおかげで今の自分や生活があると思っています。 そのくせに、未だ「美術(ないし創作行為)とは何だろう?」という、感謝よりも懐疑を抱きながら過ごしています。元々がひねくれているせい、あるいは真剣に考え抜いていないからではないか(両方の可能性もある)とも思うのですが、以降の文はその辺りを一旦棚に上げ、もう1つの要因と思われる美術に「救われた」原体験が稀薄である事を掘り下げてみようと思います。 美術鑑賞とわたし 小

(制作の中で)絵を描く事は治療、美術館は病院

【 作品「天狗鼻と、ぐでり」 2023 】https://no5kobayashi.buyshop.jp/items/71914684 "作者にとっての治療" アーティスト・日比野克彦さんは著書「HIBINO LIFE」の中で「絵を描く事は作者にとっての治療である」といった事を語っていました。 「さあ絵を描いてやろう!」なんて意気込むと、気持ちがからまわる時があります。手を動かすだけでは運動。頭の中にあるだけでは妄想。身体に思考が乗って、はじめて"表現"になります。

(雑文)ある八月の「おっ」

 4年前の八月。東京国立近代美術館へ「吉増剛造」展を観に行きました。六月に一度訪れていたものの、諸事情あり駆け足での鑑賞だったので再訪したのでした。  会場の入り口では吉増さんのサイン会が開かれていました。そんな事があるとは全く知らずに訪れた私。「これも何かの縁」と展示鑑賞前にミュージアムショップへ駆け込み、展覧会カタログを買い、列に並びました。  サイン待ちの列はそう長くはないものの、吉増さんは一人一人とじっくりお話されているようで進みはゆったり。 吉増さんの横には学芸