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此処にalmaが、あるまで--alma5人体制ラストライブ【ライブレポート】

2022年9月4日、メンバーの飯島桃子のグループ卒業が決まっているalmaが現5人体制最後となるライブに出演した。
奇しくもこの日は、前年に元メンバー・米山穂香(現・SAISON所属)を送り出し、現体制5人のalmaの冒険の旅が始まった2ndワンマン"APG"から1周年の記念となる日。
最後のステージとなったのは有楽町オルタナティブシアターで行われた大型対バンイベント『IDOL SQARE NEXT』。本稿ではそのラストステージの模様をレポートする。

なお、筆者は今年7月にalmaにハマったばかりのド・新規であるため、グループやメンバーのバックグラウンドへの理解が不足している可能性があることはご容赦いただきたい。
また、MCの内容については記憶違いや細部の違いの可能性があることも併せて注記しておく。
文中敬称略。

ライブレポート

有楽町オルタナティブシアターは銀座ルミネのビル7階に位置するイベントホール。almaの出番前になると、この日を見届けようと集まった、動員数にして100名を超えるある中(alma中毒:almaのファン)達が前方ブロックに続々と座席を確保していく。

SEとともに登場したメンバー達が身に纏っているのは、先述した1年前のワンマン・APGでお披露目した衣装だ。メンバーそれぞれに異なるシルエットで作られたドレッシーな純白の衣装は、ただそれだけでこの日の特別さを物語っているように思えた。

「2年半本当に楽しかったです。この5人でステージに立つのはこれがラストになります。このセリフを言ってみたかった、私たちがalmaだ!!」
という飯島の高らかな宣言で幕を開けた1曲目は『測定不能agitate』
「煽る」という意味のタイトルそのままに聴衆に盛り上がりを呼びかける歌詞とともに、サビでステージフロア一体となってジャンプする振りで一気に会場の熱気が高まる。

途中、竹井玲那がステージを外す場面が数度見られた。何かトラブルがあったようであるが、この間も4人でカバーしあい卒なくパフォーマンスを維持していた姿が印象的である。

9/5 15:00追記:
このときはこのような状況であったらしい。

ここでMCを挟み、自己紹介ののち、今日のステージをもって飯島が卒業することが改めて観客向けに語られた。

「ここからはノンストップで行きます!」との号令から披露された『ニューワールド』は不安や葛藤を抱えながらも新しい世界へと一歩踏み出し、未来を掴み取ろうと決意を固める歌。今日のこの歌はまさに飯島の門出を後押しするための歌であるように思われた。
特に1番のサビ、飯島が新世界への畏怖を歌うパート

掴み取るんだ!
いつだって 眩しくて未来
誰だって 怖いんだ、怖いよだけど…

『ニューワールド』/alma 飯島桃子

に対して、続く背中を押すような小田切るるのパート

掲げるんだ!
絶対に譲れないもの
苦しくたって
衝動に正直でいたいよ

『ニューワールド』/alma 小田切るる

の応答は、まさに旅立つ側の飯島、見送る側の小田切はじめ4人の心境をそのまま歌った言葉であるかのような感覚を覚えた。

曲終盤では既に涙ぐみ始めた飯島と、その表情を見た竹井が目を合わせて笑い合う姿も見られた。


続いて歌われたのは別れの歌、『ステラ』
この曲以降、先程述べたような感覚――即ち、全ての歌詞が旅立つ1人と、見送る4人の生の言葉であるという感覚――はより強まっていった。

飯島の卒業発表以来、この曲の冒頭の彼女の歌い出しは彼女自身の2年半のことを歌っているように思えてならないのである。

こんなにも早いなんて
時間(とき)が経って気づいたんだ

『ステラ』/alma 飯島桃子


筆者は以前この曲について、色の異なる2人のリードボーカル(飯島、小田切)の歌唱が存分に味わえる楽曲である、と書いたが、他にも、花沢真里乃の広い音域とストレートな歌声の魅力が分かる1番サビ前のハイトーンや2番サビ前の低音のパートもまたこの曲の見どころのひとつだと思っている。
特にこの日の1番サビ前、

何か足りないと気づいた時に
君の顔が浮かんでは離れない

『ステラ』/alma 花沢真里乃

というパートは一際美しく響いていたように思う。

飯島の落ちサビに続けて、ラストのサビを歌う小田切は、その歌詞の内容を実感してか、ついに涙を抑えることができなかった。ときに腕で顔を覆いながらも歌声だけは高らかに、そしてかつてないほど感情的に響かせ続ける。

いつかまた出会えるように
夜空に願いを込めて
明日へ向かうから
本当は会いたくて抱きしめたくて
離れたくないけどここに誓うよ
強くなると届けYour Stella

『ステラ』/alma

こんなにもこの日の彼女たちのために用意されたかのような歌詞が他にあるだろうか?
涙ながらに離れたくない本心と、それでも強くなると誓う言葉を飯島に贈る小田切の姿に、客席の感情も最高潮を迎えた。最後の最後、「届けYour Stella」で堪えきれずに言葉を詰まらせたalmaが誇るメインボーカル。もらい泣きしながら聴いていた人も多くいたシーンである。

泣いていたメンバーも涙を拭い、笑顔で仕切り直したのは『ステラ』のアンサーソング『フォルティッシモ』
グループ屈指の人気を誇るこの楽曲は、別れそのものを如実に感じさせるステラに対して、少し進んだ先で振り返って決意を新たにし、もっともっと高みへと登っていくような、そんな歌である。
両手の小指を掲げて約束を交わすような振りも『ステラ』と共通しており、almaのストーリーを語る上で欠かせない曲にこれからもなっていくのだろう。

2人ずつがオクターブユニゾンで歌うサビ(ここは低音を歌いこなすのが難しい腕の見せ所である)を筆頭に、デュエットのパートが多い『フォルティッシモ』。この日は中でも、2番のパートを飯島の手を握りながら歌う花沢や、2番サビで飯島と目を合わせて歌う犬神ユウの愛情溢れる表情が印象的であった。

ライブ前半が飯島を送り出す別れと決意のメッセージであったとするならば、終わりの2曲は飯島と、残る4人それぞれの立場から「これからのalma」の在り方を誓う、未来のためのメッセージであったと言える。
5人体制ラストに用意されたのは、飯島桃子のセンター曲・『抱きしめんだ、誓い』


いつか君に会いに行くからさ
信じて欲しい此処にalmaが あるまで

『抱きしめんだ、誓い』/alma

入れ替わりの激しいアイドルという世界において、「続ける」ということはそれだけで難しく、それだけで大きな価値のあることのように思う。

違う道を行く1人と4人がその先でまた出会うため、あるいは今日のステージを見届けたファンが今度は4人のalmaに会いに行くため、そしてalmaがまだalmaを知らない誰かに会いに行くために、最も必要なこと。それは、almaがalmaであり続けることに他ならない。
だからこそ、その「存在」そのものを信じて欲しいと真っ直ぐに誓うこの歌詞が筆者は好きである。

「We are perfect alma」と自らへの讃歌を歌い上げると、飯島の力強いソロでこの日のステージは結ばれた。

最後の挨拶では「2年半皆さんとメンバーと過ごした時間は宝物でした」と感謝を伝えた飯島。
彼女自身の人柄やエピソードについてはもっと多くの語る言葉を持っている人がいるだろうと思うので敢えて多くは述べないが、ステージからの去り際、そしてその後3時間にも及んだ最後の特典会の締めの挨拶のいずれにおいても、「美味しいものいっぱい食べてね」とファンの幸せを食に託して願っていたのが何だか彼女らしくて笑ってしまった。

特典会を飯島に先駆けて終えたメンバー・竹井が集まったファンの規模と空気感を見て「あ、なんかすごい、ワンマンみたい」と口にしたことが印象に残った。

卒業のステージが対バンイベントになったことにはきっと様々な事情があったのだろうと思うし、悔しい思いがあった人もファン・メンバー・運営それぞれに居たことだと想像する。
しかし結果として100人を超える動員があり、ステージもフロアも愛に満ちたライブとなったことで、飯島桃子と新たなalmaの門出は素晴らしいものになったのではないかと、1ファンとして感じられた、そんな何気ないひとことであった。

これからも5人が幸せでありますように。
美味しいもの食べてくださいね。


セットリスト

alma 5人体制ラストライブ
2022年9月4日
有楽町オルタナティブシアター

測定不能agitate
MC
ニューワールド
ステラ
フォルティッシモ
抱きしめんだ、誓い
MC



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