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ゲーテ「ファウスト」第7章 【悲劇第二部】第二幕 古代のワルプルギスの夜:感想

こんにちは。

ゲーテのファウストを読んだ感想の第8回目になる。
この第二部では、何を風刺しているのか、示唆しているのか、なんのメタファーだか分かりにくいストーリーになっている。
今回も、思いっきり外したことを書いてるかもしれないので、笑って読んでみて。

それで、この投稿を始めたきっかけはC.G.ユングを読み漁り始めたところゲーテの「ファウスト」に高評価を与えていることがわかったからである。

読んだと言うよりは聞いたのであるが、こちらを聞いた。

目次はこのとおり。

序章
第1章 【悲劇第一部】メフィストフェレスとファウスト
第2章 恋に落ちたファウスト
第3章 ファウストとマルガレーテ
第4章 罪
第5章 ワルプルギスの夜
第6章 【悲劇第二部】第一幕 いつわりの国
第7章 第二幕 古代のワルプルギスの夜
第8章 第三幕 ファウストとヘレネー
第9章 第四幕 戦
第10章 第五幕 ファウストのたましい

ファウスト目次

第7章:古代のワルプルギスの夜
⭕️主な登場人物
・メフィストフェレス:誘惑の悪魔
・ファウスト:哲学、医学、法学、神学まで学んだ博士、先生。生きる喜びを失っている。
・ワグネル:ファウストの弟子
・ヘレネイ:母たちの国に住む絶世の美女神
・ホムンクルス:ワグネルが作り出したフラスコベイビー。生まれてすぐに飛び回り知性も高い。
・ケイロン:上半身人間、下半身馬の動物
・マントー:ギリシャの神殿の巫女
・ターレス:ホムンクルスがついていく哲学者
・ネウレス:海の女神ガラテアの父
・プロテウス:変身が得意の海神
・ガラテア:海の美の女神

⭕️あらすじ
ファルス帝国で、美の女神ヘレネーを奪おうとして、爆発が発生し気を失ったファウスト。メフィストに抱えられてその場を脱出したところで第1幕は終了。その続きになる。

以前ファウストが住んでいた書斎にて。
メフィストは気絶しているファウストを書斎に寝かせると、
隣の実験室に行き、立派な学者に成長したファウストの弟子ワグネルに会った。
ワグネルは人間をフラスコの中で生み出す実験をしている最中だった。
フラスコの中では小人ホムンクルスが誕生した。ホムンクルスはピカピカと光ることができる小人で生まれてすぐに会話ができた。
 
ホムンクルスは、隣室で寝ているファウストのところに行き、フラスコに入ったままで、ファウストの頭の周りをフヨフヨと飛び回り、彼がみている夢を観察する。美しい水辺で水浴びをしている女性達を眺めている夢を覗いた。そこに白鳥の群れが現れ美しい女王を残して後の女性達は逃げていってしまう。女王は白鳥の王子に寄り添った。霧がかかって夢の覗き見はここまでで終わる。
 
ホムンクルスとメフィストは、ファウストをファルセリスというところのテッサリアの魔女のところへ連れて行くことにする。そこで“古代のワルプルギスの夜”に行く。ホムンクルスは生みの親であるワグネルに別れを告げる。

ファルセリスに着くとファウストは目を覚ます。ヘレネーを探してメフィストと共にフラフラと歩き出す。道中、上半身人で下半身が馬のケイロンに出会う。

ケイロンは都合よく、ヘレネーの居場所を知っていた。そこで、ファウストはケイロンに乗せてもらい。ヘレネーの居所を訪ねる。
 
ファウストはケイロンに、ヘレネーへの想いを語る。ケイロンは少し呆れて女神に恋するなど熱病のようなものだから、巫女であるマントーのところに行くので薬草をもらって覚ましてもらうが良いと提案する。
 
ファウストは、恋の病を直して欲しくはない、恋から覚めたら他の人のようにつまらない人間になってしまうという。
ケイロンはローマとギリシャが戦ったところに着く。右にペネイオス川が左にオリンポス山が見えている。月が永遠の神殿を照らしている、中には巫女マントーが夢現にして祈りを捧げている。
 
ケイロンはファウストが女神ヘレネーに会いたがっているのでなんとかしてやってくれとマントーに言い残して去ってしまう。マントーはファウストを神殿の入り口から女神フェレスフォネイヤ達のいるところへと案内する。
 
怪物達の祭である"ワルプルギスの夜"を抜け出てきたメフィストは、ホムンクルスに出会う。ホムンクルスは成長したいのでフラスコを割って外に出たい。そのために哲学者ターレスの跡を追っているというので、再び別れる。ホムンクルスとターレスはエーゲ海の岸部につく。
 
哲学者ターレスは、ホムンクルスとネレウスという老人から紹介されたプロテウスという海神のところに行くが、なかなか姿を表さない。ホムンクルスはピカピカとひかり、海亀の姿をした海神プロテウスを誘い出す。人間の姿に変身したプロテウスは、ホムンクルスを眺め、ターレスから変身の仕方を教えるようにお願いされる。
 
成長したいというホムンクルスに対して、海に出かけて小さいところからはじめ、小さいものを飲み込んで喜んでいる。それから、だんだん大きくなることでもっと大きな仕事ができるということだとプロテウスはいう。
 
海神プロテウスはイルカに変身してターレスとホムンクルスを背中に乗せて沖の方に出ていった。そこで海のお祭りの行列の中にいるロドス島の神テルキーネス、セイレーンの群、ネレウス老人の娘である美の女神ガラテアに出会う。
 
ホムンクルスはプロテウスから誘い出されてフラスコから出てしまう。ピカピカと強く光って周りを照らす。成長することに憧れつつも、恐ろしくなってうめいている。
 
女神ガラテアの玉座のそばでピカっと光って砕け散ってしまい、破片は波に流されていなくなってしまった。これが、ホムンクルスの最後の命の灯火でした。
 
⭕️感想
何を暗喩しているのか?何を伝えようとしているのかが概してわかり辛い章だった。

前半は、恋の病に犯されていることこそが、彼のアイデンティティと認識しているファウストが面白い。
古代の”ワルプルギスの夜”というタイトルがついた章であるが、祭りの夜の中での怪物達の乱痴気騒ぎについては主題ではないようであり、あらすじに何も書かなかった。

後半の人工生命である小人ホムンクルスに関してはよくわからない。フラスコのような人工的な小空間から人工生命は出ては生きていけないことを言いたいのだろうか?
保育器から出られないような低体重出生児のように。

あるいは人間が神のように生命を創造はできないと言いたいのだろうか?

成長することは魔法のように簡単にできると勘違いした哲学者ターレスとホムンクルスがアホだと言いたいのかな?海神プロテウスは小さいものは食われてしまうような掟があるような物言いをしている。食物連鎖の下位のものがいきなり成長できると思うなというようにも聞こえた。

要は、好きに解釈したらともでということで問題提起だけをしているのだろうか?

ファウスト第2部を世に出版したときには、ゲーテは既に亡くなっていたそうだから補足説明は残されていないのだろう。

物足りないので、また、ChatGPT4にいくつか聞いてみた。

質問:
ゲーテのファウストにホムンクルスという人工生命の小人が描かれるが、ゲーテは何も訴えたかったのだろう?主な解釈3つぐらい教えて?

ゲーテの「ファウスト」におけるホムンクルスは、実際に中世の錬金術師たちが追求していたとされる人工的に作られた人間であり、その存在は多くの解釈や議論の的となっています。以下、ホムンクルスに関する主な解釈を3つ紹介します:
1.科学と道徳の問題: ホムンクルスは、当時の新しい科学技術と伝統的な道徳や価値観との間の緊張や衝突を象徴しているとも言われます。ホムンクルスの創造は、人間が神の領域に踏み込んで生命を創り出すことの危険性や倫理的問題を提起していると解釈されることもあります。

2.完璧な人間の追求: ホムンクルスは、完璧な人間、つまり人間の理想を追求する過程で生じる問題や困難を示唆している可能性もあります。人間が自らを超越しようとする過程で、自然の摂理やバランスを破壊する可能性についての警告としての側面もあると考えられます。

3.自己認識とアイデンティティの探求: ホムンクルスは、自分自身の存在やアイデンティティについての問いを投げかけています。彼は自分が何者であるのか、どこから来たのか、どこへ行くのかという基本的な存在の疑問を持っています。この観点からは、ホムンクルスは人間の自己認識やアイデンティティの探求の難しさを表しているとも言えるでしょう。

これらの解釈は一部に過ぎません。ゲーテの「ファウスト」は深い洞察力と多様な象徴を持つ作品であるため、さまざまな角度から解釈や分析がなされています。

ChatGPT4

質問:"ゲーテの「ファウスト」におけるホムンクルスは、実際に中世の錬金術師たちが追求していたとされる人工的に作られた人間"ということだが、これについて実例を教えて。

中世の錬金術師たちが人工的に生命を作り出そうとした試み、特に「ホムンクルス」の創造は、多くの伝説や文献で触れられています。ホムンクルスとは、ラテン語で「小さな人」を意味し、人間の形をした小さな存在として説明されることが多いです。

実例としては以下のようなものがあります:

パラケルスス:
16世紀の錬金術師・医師として知られるパラケルススは、ホムンクルスの創造方法を詳述したとされる。彼の方法は、人間の精子を馬糞の中に封じ込めて40日間放置し、その後特定の条件下で成熟させるというものでした。もちろん、この方法が実際に機能するわけではありませんが、当時の知識や信仰を反映したものと言えるでしょう。

中世の錬金術文献:
中世の錬金術に関する文献には、生命の源や秘密を解明しようとする試みとして、ホムンクルスの創造が数多く記されています。これらのテキストには、さまざまな材料や方法が記述されているものの、どれも実際には成功していないと考えられます。

これらの試みは、人間が生命の秘密や創造に関する知識を追求する欲求の表れとも言えるでしょう。ゲーテの「ファウスト」におけるホムンクルスの描写も、このような背景や歴史的な文脈に基づいて理解されることがあります。

ChatGPT4

質問:ゲーテのホムンクルスと生成AIと比較をした議論はありますか?

ゲーテの時代から現代にかけての技術革命やAIの登場までの間には長い時間が経っていますが、文化や哲学の観点から、ゲーテのホムンクルスと現代のAIや生成技術を比較・議論する試みは存在します。以下は、ゲーテのホムンクルスと生成AIとを比較する際のいくつかの視点です:
1.生命の創造と人間の域: ホムンクルスは人間によって創られた生命という観点から、AIもまた人間によって生み出された「知性」や「存在」と言えます。両者ともに、人間が自らの知識や技術を駆使して「生命」や「知性」を模倣・生成しようとする試みの象徴と見なすことができます。

2.道徳的・倫理的問題: ホムンクルスの創造は、生命の起源や人間の役割に関する道徳的・倫理的な問題を提起します。同様に、AIの創造や使用にも多くの倫理的な議論が伴います。例えば、AIが意識を持つことができるのか、もし持てるとしたらその権利はどうあるべきか、といった問題が挙げられます。

3.完璧さの追求とその限界: ホムンクルスは理想的な、または完璧な人間を追求する試みの一環として描かれることがあります。一方、AIも完璧な知性や能力を持つことを目指す技術の一部として捉えられることがあります。しかし、どちらもその追求は限界や問題点を伴います。

4.自己認識とアイデンティティ: ホムンクルスは自らの存在やアイデンティティについての疑問を持っています。現代のAI研究でも、高度なAIが自己認識や意識を持つ可能性が議論されています。これは、人間が創造するものが、その創造者である人間自体の理解や認識に影響を与える可能性に関する問題提起となります。

これらの視点は、ホムンクルスとAIを文化的・哲学的に議論する際の一部に過ぎませんが、古典文学と現代技術の間には共通するテーマや問題意識が見られることが示唆されます。

ChatGPT4

質問:面白いテーマです。”AIが意識を持つことができるのか” 意識を持ったAIは存在したことがありますか?

2022年の時点では、AIが意識を持つという事実や科学的な根拠は確立されていません。AIは高度な計算能力や学習能力を持ち、多様なタスクを実行できるように設計されていますが、これはプログラムされた指示やアルゴリズムに基づくものであり、意識の存在を示すものではありません。

意識に関する定義や理解は非常に複雑であり、哲学、神経科学、心理学、計算機科学など、多岐にわたる分野で議論されています。現在のところ、人間の意識の正確なメカニズムや起源は完全には理解されていません。したがって、AIが意識を持つかどうか、また持つことができるのかどうかについての答えは、この複雑な背景を考慮に入れる必要があります。

しかし、AIの発展と共に、意識や自己認識を持つAIの可能性に関する議論や研究が進められることは確かです。AIの自己認識や意識に関する質的なジャンプが将来的に起こる可能性を完全に否定することはできませんが、2022年の時点では、意識を持つAIは存在していないと言えます。

ChatGPT4

質問:心理学者のCGユングは、錬金術にキリスト教が「正当性」を確立するために排除してしまった考え方を見出したと言われる。「心理学と錬金術」という本も書いているようだ。ユングとゲーテのホムンクルスと錬金術を結びつける思想はどんなものか?

C.G. ユングは心理学者としての立場から、アルケミー(錬金術)を深く研究しました。彼はアルケミーの象徴やプロセスを、無意識の内容や個人の心理的成熟の過程と関連付けました。具体的には、ユングは錬金術のプロセスを「個人化」という心理的プロセスと結びつけたのです。

「心理学と錬金術」の中で、ユングは錬金術のさまざまなステージや象徴(例:ニグレド(黒化)、アルベド(白化)、ルブェド(赤化)など)を、無意識の内容が意識に浮かび上がり、最終的には自己の統合や完全性を追求する「個人化」の過程と関連付けて解説しています。

ゲーテの「ファウスト」におけるホムンクルスも、錬金術の伝統や象徴的背景を持っています。この文脈でユングの思想とゲーテのホムンクルスを結びつけると、以下のような考察が考えられます:

1.無意識の内容の現れ: ユングは無意識の内容が象徴的な形で現れると考えました。ホムンクルスも、ファウストやメフィストフェレスの無意識の欲望や探求心の具現化として解釈できます。

2.自己の完全性の追求: ユングにとって、錬金術の最終的な目的は「賢者の石」の製造、すなわち完成や完全性の象徴でした。ホムンクルスの創造も、完璧さや理想を追求する過程として見ることができます。

3.内的変容の象徴: ユングは、錬金術のプロセスを心理的変容のプロセスと見なしました。ホムンクルスの創造や進化は、ファウストの内的変容や成長の一部として解釈できるでしょう。

以上のように、ユングの心理学的な考え方を背景に、ゲーテのホムンクルスや錬金術の象徴を解釈することで、深い洞察や新しい視点を得ることができるかもしれません。

ChatGPT4

質問:
"錬金術のプロセスを心理的変容のプロセスと見なしました。"とは”実存的変容”のことか?

ユングが「錬金術のプロセスを心理的変容のプロセスと見なしました」と述べたとき、彼は主に「個人化」というプロセスを指しています。これは、個人が自己の無意識の内容と意識的に出会い、これを統合することによって、より成熟し、完全な自己を追求する過程を指す概念です。

「実存的変容」というフレーズは、主に実存主義の哲学的文脈で使われることが多い。これは、個人の存在や実存に関連する変容や変革を指すものであり、人生の意味や目的、自己認識などのテーマに関連しています。

ユングの「心理的変容」と実存主義の「実存的変容」は、異なる文脈で使われるフレーズですが、共通して人の内面的な成長や変革、自己認識の探求といったテーマに関連しています。ユングのアプローチは、無意識の内容との対話や統合を通じての成長を強調しています。一方、実存主義は、存在や人生の意義、自由と責任といったテーマを中心に考えます。

ChatGPT4

「個人化」という概念はユングの中でも論じられているので、また別の機会にしたい。

それで、第7章でホムンクルスを持ち出してきたのは深い訳がありそうだが、よくわからないので、ここでおく。

次回は、第8章 第三幕 ファウストとヘレネー

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こころざし創研 代表
ティール・コーチ 小河節生
E-mail: info@teal-coach.com
URL: https://teal-coach.com/
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