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『男子宝石③』(毎週ショートショートnote)

男子宝石が並んだショーケースを見ながら
君はそっとため息をつく。
僕に悟られないようにしているけど
そんな気遣いが僕を余計に惨めにさせる。

昨日、友達が君の目の前にかざした男子宝石を見て
素敵ねと呟いて目を伏せたね。
キラキラと光る男子宝石は若さに溢れ
同い年のはずの君の友達までもがずいぶん若く見えて
君が気後れしてるのが分かった。

そして、僕のことをちらっと見て
何とも言えない笑顔で笑ったね。
そんな顔すんなよって
君だって十分輝いてるよって
そう言ってあげたかったけど、
君にそんな顔させてんのは僕なんだなって。

新しい男子宝石なんていらないって君は言うけど
僕には僕のいいところがあるって言ってくれるけど、
僕はこんなにくすんで
かつての輝きなんて微塵も感じられないし
かと言っていぶし銀のような渋い魅力も備わっていない。
ごめんね。
僕はもう、かつての男子宝石だった頃のようには
うまく光ることが出来ないや。

ちくしょう、
涙だけはキラキラと光ってやがる。

(410文字)

<あとがき>
もう、、、男子宝石って何?
よく分かんないッス。

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