見出し画像

🏢

 古い作りの図書館などに行くと何故か快適なのに気付く。使い勝手が妙に良い感じがする。思うにその理由は特別な快適さがあるというより“敵対的デザインがない”ことの方にある。ちょっと座りたい時に座れる場所があるとか。周りから完全な死角になる場所があって集中して考え事ができるとか。

1. 初めはみんなが快適に使える場所を作る
2. 一部の人間が濫用するようになる
3. やむを得ず禁止する
4. みんなが不便になる

 モラルによる制限が不可能だから物理による制限をかけるようになった経緯が見て取れるようだ。図書館の邪魔者というと昔はホームレスばかり槍玉に挙げられたけど、参考書を広げて居座り続ける学生も普通に邪魔だった。だから机も撤去されがちだ。
 正直なところ2の状態に留まるくらいなら3に進んで欲しい。でも4の状態なら1の方が良い…というジレンマが、本来は存在するはずだった。「建物それ自体の構造を変える」という物理的対策は不可逆であり揺り戻しの過程が存在し得ない。だから 1→4 までの直線的な経過で終わってしまった。これが平成年間の30年に全国の公共施設で起きた変化だったと思う。
 特にオチはない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?