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リチウムイオンバッテリは0%と100%で著しく劣化する

 なので完全放電と満充電はあまりしない方がいい。25%から75%の間で使うと長持ちするそうだ。新しいiPhoneを買って初めて起動する時大体50%前後の中途半端な充電状態になっているのは勿論わざとそうしてある。その状態が一番バッテリを傷めないから。
 最近のiOSは「機械学習でバッテリの充電サイクルを覚えて毎日使い始める直前に100%になるように調整します」なんて機能が追加されたが「なんでそこで機械学習やねん」以外の感想がない。ただ単純に80%になったら無条件に充電停止すればいいだけなのに。(そもそも朝家を出てから夜帰るまでに10%も減ってないし日常生活ではまず満充電する必要すらない。)
 バッテリが長持ちするとユーザーの買い換えニーズが減ってしまう。デバイスメーカーには早めに今の端末を劣化させて買い換えを促したいという動機が存在する。計画的陳腐化というやつだ。しかしそれを露骨にやると最悪集団訴訟になる恐れがある。そこで機械学習の出番だ。あなたのためにインテリジェントに充電サイクルを記憶しますだの何だのとお為ごかしを言いながら、売り手のため可能な限り速やかにバッテリを劣化させようという矛盾したミッションを担うすごいやつだ。

 AI(機械学習)それ自体が上手く適用できる分野というのは非常に限られている一方、制作者の意図をロンダリングするのには持って来いで、その動機で使われることの方が多かったというのは割と面白い話なので10年経ったら教科書に載ると思う。判断プロセスの不透明さを利用してバカな消費者を煙に巻く。〝AI〟の御名と威光を仲立ちに、不都合な意志決定を一方的に押し付けられる。

 あと余談だけど(余談ではないけど)0.1Aくらいしかなくて8時間挿してても+20%くらいしか充電できない超低速充電器があったら逆に売れるかも知れない。

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