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市紗
2020年4月5日 19:29
時計は二時半を指している。きれいに晴れた空と白い石で舗装された道との間を歩いていく。 通りには僕以外には人も猫もいない。さらさら、と緩やかな風に吹かれた葉っぱが、まだらの影を揺らしている。 ずっと歩いていくと、赤いポストのある曲がり角があって、その手前に果物屋がある。お日様の光を浴びているような人が、ベンチに座って機嫌よさげに雑草をくるくると弄んでいた。確かではないが見覚えのありそうな姿に、