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句具ネプリ 冬至《Vol.8 2022》前半

句具ネプリ 冬至《Vol.8 2022》好きな句

カーナビが師走の色になってゆく / たろりずむ
「師走の色」ってなんだ?!赤色の渋滞。どこかせわしなく色が変わってゆく。カーナビがということは、自分の車もその一員なのだろうか、

息白しハンドクリーム香る指 / 岡田瑛琳
指ってのが良いなって思った。指先までちゃんと塗った手を口元ではぁーと白い息で暖めているときに香ってくる指先。しなやかで丁寧に描かれている。

リベイクのカリリ師走のメロンパン / 藤白月
忙しい師走にオーブントースターで焼き直して食べるメロンパン。カリカリメロンパン派の私にとってこの句だけでお腹すきました。師走の贅沢最高。

タッチレスキーの瞬き細雪 / 岸来夢
瞬きほどの一瞬さと、細雪の繊細さと細かさ。タッチレスキーを瞬きに閉じ込めてしまう時間の描き方が素敵な句だった。

冬晴れやぽかんとひらく袋菓子 / 八日きりん
もう直感で。冬晴れの暖かさとお菓子の袋がただあいている様子がほのぼのしていて「ぽかん」が似合う。

厠まで十秒ほどの冬銀河 / 本村なつみ
昔の家の造りでそうなっていることが多いとどこかで聞いた気がする。
寒いからその一瞬だけ、寝る前か深夜かに見るであろう冬銀河一人だろうけど声が漏れそうなのが思い出される。

雪をんな泣けない人を抱きしめて / 如月かのん
雪女を使った俳句なんて自分には詠めないから。なんか見逃せない句だった。冷たいけど暖かい感じ。

好きになる少し手前の冬すみれ / 由ずる
友達なんだけど気になる、恋と自覚する前の恋と呼ばない期間。「好きになる少し手前」という表現の仕方がかわいらしくて。「冬すみれ」の季語とも合っている感じがして、すみれがひらがななのも更に可愛い。

街灯が灯る聖夜を感知して / 森永青葉
街がクリスマスムードだなんて言うけれど、そうさせているのは恋人たちの雰囲気だったりするんだろうか、なんて思わせられる。暗闇のセンサーがあるように。

ドーナツが世界を囲いたる淑気 / ツナ好
平和で、家族の輪だったり、こたつでぬくぬくしてそうな光景が目に浮かぶ。


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