【SS】生暖かい地獄【ショートショート】

別サイトからの再掲。不登校の女の子の独白SS。暗いし短いしこれはもうポエムかもしれません。
自傷表現、嘔吐表現少しだけあります。

布団は暖かい。スマートフォンのブルーライトが示すのは十一時。
午前中。もうクラスは三限かな。自室の外では、おばあちゃんが家事をしている音が微かに聞こえる。
手首は掻き毟りの汚い薄汚れの茶色い斑点状の内出血がある。夜中のやつだ。
私は横たわって、羽毛布団に護られている。何時までも孵らない卵みたいに。ずっと。
本当は、私も、上手く外で笑える子供になりたかった。
体育祭のリレーが楽しめて、文化祭でノリノリになれて、誰からも仲間外れにされず輪に入れる人間に。
でも、いつもそうなれない。結局四角の隅が私の停留地なのだ。
学校に行こうとして、気分がどんより沈みだした時の、あのすくんだ脚をトイレに無理矢理連れ込む感覚とか、戻りそうで戻らない体の中の朝ごはんとか、吐瀉物の匂いとか、知らずに生きていける能力のないカスが私だった。それだけの話で。
逆向きの急流には乗れないから。こうして私は柔らかい殻にいる。


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