マガジンのカバー画像

もしもしからだ

43
見逃しがちな身体感覚や、人間のふとした会話についてのコラム。時勢柄、コロナウイルスや、過去のことを考えるコラムが多めです。
運営しているクリエイター

記事一覧

◎もしもしからだ はじまります

2020年は、「まさかこんなことになるとは」な出来事が続発した1年だった。 まず、今も続くこ…

◎お尻に激痛で気づいたこと

リモートワークになって最初に思ったのは、 「人間、こんなにも動かないものなのか」 という…

◎言葉はその身体に向かって書かれる

先日、カフェで作業をしていると、隣に若い二人が座った。 どうやら新人の後輩と、その会社の…

◎湯あたりって何?

温泉が好きだ。 昨年、自宅から車で15分圏内に公共浴場を見つけてしまってから、 狂ったよう…

◎私が野球をやったわけ

10年以上ぶりにバッターボックスに立った。 ふと足元を見ると、思ったよりも大きな三角ベース…

◎歯への負担はゾウ一頭~歯ぎしりの恐怖~

「歯が痛くてさあ」 大学時代、飲み会で先輩がそう言っていたのを覚えている。 顎をさする彼女…

◎さわり心地が死んでいく

先日、昼食にうどんをゆでていたら、鍋から器にうつす瞬間に盛大に床にこぼした。 「うわああ、熱ぅ!」と言いながら、片付けようと落ちたうどんを手に持つ。すると、その妙に生々しい感触にぎょっとした。 麺がほどよく温まっていたからだろうか、うどんのさわり心地が何かの肌のように感じられて、心がざわついた。むにゅっと指で押してみる。 うどんの表面はみずみずしく、ぎゅっと水分が溢れ出る感じがした。 指の力をゆるめると、ぬちゃっと粘っこく指に吸い付いてくる。 普段は歯と舌でしか触れないその

◎死んだら土葬にしてほしい

ずしっ、ずしっ、と身体に土がかぶさっていく。 細かい砂が首の皮膚にあたってぱらぱらとはじ…

◎身体のゲシュタルト崩壊

友人に、よく動物を「気持ち悪い」という人がいた。 公園でクモの子どもを見ると「気持ち悪過…

◎ランニングがつらかった本当の理由

学生時代、冬場に開催されるランニング大会が苦手だった。 もちろん「好きだった」という人は…

◎ため息もつけない程つらい時に

「はい、じゃあまず吐いてー」 高校生で初めて演劇を習ったとき、発声練習で言われたこの一言…

◎身体とモノの関係性

数か月前、「夕方になるとじわじわ現れる頭痛」に悩まされていた。 「低気圧が原因かな?」と…

◎テーマパークで抵抗する

「はあ~い!こっち向いてくださーい!」 サファリの服装に身を包んだカメラマンは、にこやか…

◎犬の思い出と、毛

犬が死んだ。 家に来てから9年と少し。 ペット用品店で見かけては「いつか使う時が来るのかなあ」と思っていた犬用おむつも、結局一度も手に取ることがないまま、突然のお別れだった。 「死んだよ」と連絡を受けた時も、それがあまりにも急だったので、電話越しで泣いている母に何と声をかけていいのかわからなかった。というか、実感が全くなかった。 犬が?死んだ?―本当に? 聞けば、亡くなるほんの数時間前まではいつも通りだったのだという。 明日にでも火葬に出すというので、実家に帰って最後の