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ドラマトーク#3 仮面ライダーと親心、のようなもの

子供が毎週日曜日の朝に仮面ライダーを観るようになって早数年。
1年経つと次のシリーズに変わり、どのシリーズだって一度も一緒に座ってじっくり観たことなどないのに、いつのまにか主要な登場人物の顔を覚えてしまうのだから親とは不思議だ。

自分の子供が男の子でなければ、きっと一生観ることはなかったであろう世界の若い出演者たちは、たいていがオーディションで選ばれたまだ無名の新人か、限りなく新人に近い役者たち。
ここで1年間経験を積み重ね、次のステップへと羽ばたいて―――行けるのは毎年何人も出演する中の、さらにほんの一握りというのがおそらく現実だろう。

そんななか、ここ1,2年、夜な夜な連続ドラマを観ていると、
「あ、この人、仮面ライダーに出てた…」
と気づくことが多くなった。
彼らを見かけると、もともと自分が見いだしたわけでもないのに、なんだか青田買いがうまくいったような、親心のような、よかったねえ、という気持ちになる。

今期の連続ドラマにも、3人のライダー出身者がそれぞれ別のドラマに出ていることは以前にも書いた。

今期の連ドラに出ているライダー出身俳優

『最愛』に仮面ライダーゼロワンだった高橋文哉(2019『仮面ライダーゼロワン』)、『アバランチ』に仮面ライダーフォーゼだった福士蒼汰(2011『仮面ライダーフォーゼ』)、『SUPER RICH』に仮面ライダークローズだった赤楚衛二(2017『仮面ライダービルド』)が、いずれもメインキャストで出演中だ。

ライダー出身俳優と言えば

福士に関してはライダー出演は10年前で、その後主演も含め多くのドラマや映画に出演して顔も売れ、すでにライダー出身の印象は薄れているかなと思う。
今やすっかり実力派人気俳優となった佐藤健(2007年『仮面ライダー電王』)や菅田将暉(2009年『仮面ライダーダブル』)とまではいかないものの、同じ『仮面ライダーフォーゼ』で2号ライダーの仮面ライダーメテオ役だった吉沢亮や、竹内涼真(2014年『仮面ライダードライブ』)とともに、2010年代ライダーの中では抜きん出た活躍を見せていると言って良い。
ちなみに、平成最初の『仮面ライダークウガ』(2000年)でクウガを演じたのはオダギリジョーである。
こうしてみるとやはり、主役級の活躍ができるほど大成するのは10年に2,3人という、厳しい世界なのだ。

今、注目すべき若手ライダー出身者たち

実は高橋文哉も赤楚衛二も、ここ最近、立て続けに連続ドラマに出演している。
赤楚は前クールの7月期『彼女はキレイだった』(TBS系・火曜22時)に、主演のSexy Zone中島健人に次ぐ男性2番手で出演。
高橋に至っては、7月期には深夜帯の『うきわ-友達以上、不倫未満-』(テレ東系・月曜23時)に出演、さらにその前の4月期には『着飾る恋には理由があって』(TBS系・火曜22時)と、今期の『最愛』まで3クール連続の連続ドラマレギュラー出演を果たしている。

また、今期は出演がないものの、同様に最近露出がふえているのが、2018年の『仮面ライダージオウ』に仮面ライダーウォズ役で出演していた渡邊圭祐だ。
7月期の『推しの王子様』(フジ系・木曜22時)では男性1番手となるヒロインの相手役に大抜擢。
その前の4月期『恋はDeepに』(日テレ系・水曜22時)や、昨年1月期の『恋は続くよどこまでも』(TBS系・火曜10時)でもメインキャストの一人としてレギュラー出演しており、最近よく見かけるなという印象が強い。

さらにもう一人、この3人より少し早い時期からあちこちのドラマで見かけるのが、赤楚が2番手だった『仮面ライダービルド』で主人公のビルド役を務めた犬飼貴丈
民放の連ドラのみならず、すでにNHKの連続テレビ小説『なつぞら』(2019年上期)や現在放送中の大河ドラマ『青天を衝け』にも出演している。

大きい芸能事務所に所属していたりすると、最初のうちは主要キャストのバーター的に出演できたり、事務所からの猛プッシュもあったりするのかなあと邪推することもできるが、活躍し続けるには役者本人の魅力や努力なしには成立しない世界であることは間違いない。
彼らの活躍がこの先も続くといいなと、やはり親心のような見守るような気持ちで出演作を観ている今日この頃なのである。

ちなみに赤楚、渡邊、犬飼は3人とも現在27歳だが、ライダー出演時弱冠18歳だった高橋は、まだ20歳。
放送中の『最愛』では物語のキーパーソンでもある、過去を抱えた陰のある青年を演じているが、仮面ライダーゼロワンのときの明るいキャラクターからの振り幅にドキッとさせられた。
イケメンというよりは、透明感のある美少年という表現のほうが合っている彼が、もしかすると令和仮面ライダーの出世頭になるのかもしれない。

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