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やっぱ志ん生だな!

会社に二日酔いで出社して、仕事中に居眠りしても同僚によろこばれ、有り難がられた経験はありますか?

今回の推薦書は、酒に酔って講座にあがり居眠りしても尚、客がよろこんだ伝説の噺家、古今亭志ん生さんを笑いの天才、ビートたけしさんがどうすごいかを探っていく“やっぱ志ん生だな!”です。

“よく「時代とともに人間は進化する」と言われるけど、それって人間が進化しているというよりは、時代ごとに天才が現れて、世の中を便利にしているだけじゃないかと思う。アリストテレスがいたり、ニュートンがいたり、アインシュタインがいたり。現代の人間っていうのは、そういう天才の生み出したものの上に乗っかっているだけじゃないかと。志ん生さんの芸にもそういうところがあると思う。”とたけしさん。

第1章の“想像力の勝負”の中で、“落語のよさとして、本来なら映像化が難しいとこでも、言語ベースなので簡単に組み立てることができるというのは大きいよね。特にうまい人がやると、想像する余地を残しておいて、お客がいいふうに解釈してくれるように持っていくと解説。

例としてこんな小噺が載っています。

「でっかいナスの夢を見たよ」

「どんぐらい?」

「とにかくでかい。家とかそんなもんじゃない」

「いや、もっと大きい」

「ええっ?そんなにかい」

「もう、暗闇にヘタをつけたような__」

これが説明的すぎると面白くなくなってしまう。そこのところ、志ん生さんはホントうまいと思うんだ。とたけしさんは褒める。

また違う視点での志ん生さんのすごさに客とのコミュニケーションの取り方だとあって、“誰に内容を伝えるのか?その会場ごとに合った言葉のチョイスが必要だし、そうでないといくらギャグを言っても笑ってもらえないどころか、話の中身すら理解されない。

中略〜

こんな小さな国でも、言葉の使い方、背景、ニュアンスの違いがあるわけで。落語なんか特に、着るものから、食い物から、細かい文化様式が詰まっていて、いまの人が知らないことだって多い。それでも、いま志ん生さんの落語を聞いて笑えるんだから、本当にすごいことだよ。”と話芸にはコミュニケーション能力がいかに大切かという事が綴られていました。たしかに人に何かを伝えるってホント難しいに、さらに話芸だけで人を笑わすのは至難の技。

もうこの世にはいないので、百聞は一見とはいきませんが、YouTubeにもたくさんアップされている志ん生さんの落語を聞いてみてはどうですか?

志ん生さんの落語には人に何か伝えるというシンプルで一番難しいことを面白おかしく聴かせてくれます。

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